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先生のための金融教育セミナー

平成20年度教員のための金融教育セミナー

2.分科会(金融教育の事例紹介とワークショップ)

分科会1(小学校)

進行およびコメント:
横浜国立大学教育人間科学部 西村 隆男 教授

実践報告およびワークショップ(1)

「移動教室でのおみやげ購入を通じた実践的な金融教育の展開」(家庭科)
東京都東村山市立野火止小学校 小関 禮子 校長

実践報告

6年生の移動教室は、子どもにとって共通の場、共通の金額での買い物ができる特別な機会です。子ども同士で学び合いながら、商品の選び方や計画的なお金の使い方を考えさせました。まず(1)事前に、みやげ物屋のパンフレットや事前調査の際に教師が買ったみやげ物の実物を見ながら、だれに、何を、どれぐらいの値段で買うか、注意することは何かを、各自でワークシートに記入していきました。次に(2)移動教室において、計画に沿って買い物をしました。さいふは家庭科の授業で子どもが手作りしたものを使わせました。そして(3)移動教室から帰って、自らの買い物を振り返り、感想を発表してワークシートに記入しました。

移動教室の際には家庭で厳重に封をしたお金を担任が現地まで預かり、お金の厳正な扱いを学ばせました。本授業では、子どもたちの主体的態度、目的意識、計画性などを改めて確認することができました。移動教室のみやげ物という限定した場面の指導を、さまざまな分野に発展させることが今後の課題です。

ワークショップ

参加者が8つのグループに分かれて話し合いました。「子どものお金の使い方や物の扱いについて気になること」というテーマでは、「現実的な金銭感覚に欠ける」、「親が汗を流してお金を稼いでくれているという意識がない」、「各家庭の金銭感覚が異なり、教育がどこまで踏み込めるか難しい」、「学校の中での落し物が多い」という意見がありました。

また、「お金の大切さや使い方についての指導」というテーマでは、「家庭で話し合ったり商店街で話を聞く」、「学校でつくった野菜を市場に出す」、「自分のモノには自分で名前を書かせる」といった提案が挙がったほか、「モノの値段を子どもに教えることも必要だ」という意見が出ました。

コメント

このような意見に対し、小関校長から「生活の仕方がその人の価値観を形成する。お金の教育は子どもの生活を大切にする教育であり、思考力、判断力、問題解決力等の学力とも密接に関連する」、西村教授からは「現金によらないお金のやりとりが増えており、それを可視化して実感させる教育が必要だ。汗して働いて得たお金を大事にする意識を身につけさせたい」というコメントがありました。

東村山市立野火止小学校の実践事例は、金融広報中央委員会の広報誌「くらし塾 きんゆう塾」2007年秋号に紹介されています。
広報誌「くらし塾 きんゆう塾」Vol.2 2007年秋号

分科会1(小学校)の模様(1)

実践報告および質疑応答(2)

「起業教育から金銭の多面的価値を考える~『株式会社ナカちゃんプロジェクト』のCD販売を通して~」(総合的な学習の時間)
徳島県阿南市平島小学校 島村 孝 教諭

実践報告

2002年度以来、総合的な学習の時間で、年間テーマを定めて学習を進めてきました。2006年度には、私が担任した4年生の児童が、那賀川にすみついたあごひげアザラシ(通称「ナカちゃん」)について、なぜ那賀川に来たのかを調べることとなりました。その過程で、児童が北海道旅行で買ってきた「ごまあざらしサブレ」について、「包み紙に卵の絵があるが、アザラシは卵からは生まれない」、「ごまあざらしという種類のアザラシはいない」という疑問が出て、菓子の製造会社の社長に手紙を出したところ、「パッケージを直します」という返事があり、マスコミにも取り上げられました。正しいことを言ったら大人はきちんと向き合ってくれるという自信が子どもたちにつきました。それで弾みがついて、夏休み前にみんなで「ナカちゃん」の歌をつくり、市の音楽会での発表とCD化を視野に入れて専門家の歌唱指導を受けました。

そして、音楽会での大きな反響を得て、CDを製作・販売する「株式会社ナカちゃんプロジェクト」を設立。営業部、宣伝部、製造部のどれかに各自が自分で選んで所属し、出資金1人200円を出して、生産計画、性能、価格等について話し合いながら製作・販売を進めたところ、1カ月で600枚を売上げ、17万円近い利益が生まれました。話し合いの結果、車いすの寄附、お世話になった方々を招待する感謝のつどい、「ナカちゃん 君は」の歌碑の建立、骨髄バンクへの寄附を行い、さらに出資金の返金と配当金(一人当たり300円)相当の文具の配付ができました。

事業運営の中で子どもたちに一体感、責任感が生まれ、それまで不登校に苦しんでいたA君は製造部長に選ばれ、1日も休まず出席しました。この実践を通じて、教師は半歩先を考え、子どもたちを後方支援する立場に立つことが必要だと実感しました。

質疑応答、コメント

実践報告に対し、参加者から「他の学年ではどのように取り組んでいるか」、「テーマをどう決めるのか」といった質問や、「島村先生のコーディネーターとしてのバイタリティーに感動した」というコメントがありました。島村先生からは、「学年テーマには、担任の得意なことを考慮しつつ、地域の現状を踏まえて『勝てるもの』を選んでいる。また、管理職をはじめとする周囲に情報を発信して関与してもらっていくことが重要」との回答とともに、「金融教育の究極の目的は、お金の向こうにある本当に価値あるものに気づくこと」との考えが披露されました。西村教授からは「この実践では学校によるCD販売という点でリスクが皆無ではないと感じたが、『絶対に安全なもの』はない中で、許容できるリスクの中でトライするというリスク教育も必要だ」というコメントがありました。

島村孝教諭の実践報告は、金融広報中央委員会の「金融教育を考える」第4回小論文コンクールで特賞を受賞しました。
「金融教育を考える」第4回小論文コンクール(平成19年)

分科会1(小学校)の模様(2)

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