個票データを用いた研究成果
資産収益率とリスク選好が家計の危険資産選択に与える影響
研究者:白石小百合((社)日本経済研究センター)
*カッコ内の所属は、研究成果完成当時
完成時期:平成16年12月
本稿は、『世論調査』の「収益性、安全性、流動性」指標を用い、家計の資産選択モデルに、危険回避度と収益率を入れたパネル・データによる実証分析を行った。更に松浦・白石[2004]に従い、社会経済制度を反映した変数もモデルに取り込んだ。金融広報中央委員会『家計の金融資産に関する世論調査』の「金融商品の選択基準」は、家計のリスク選好に関するデータを時系列で得ることができる点で非常に貴重である。同調査はパネル調査ではないものの、地域コード別に集計し直すと、一種のパネル・データとしての取り扱いが可能となる。ウエート付きパネル効果モデルの推計によると、安全性と流動性ダミーは負に有意、収益率は有意でなかった。リスクは正に有意であった。住宅ローンは負に有意であった。以上より、家計金融資産における株式シェアは、リスク回避度や住宅ローンに影響されていること、家計はパッシブ運用をしている可能性が示唆された。