金融指標の見方
4.国際商品市況
(1)原油価格
今のように高度に発達した工業化社会にあっては原油の恩恵に与っていない産業、企業はないといっていいでしょう。どんな製品であっても、その生産コストのうちに原油利用コストを含んでいない製品はありません。であれば、原油価格の動向がほとんどあらゆる製品価格に影響を及ぼすのは当然です。このため原油価格の動向は経済社会のありようをとても基本的なレベルで決めていくとても重要な要素なのです。
一口に原油といってもその産地、油種によりさまざまな種類があります。中でも世界的にもっとも指標的な存在だと見られているのが、ニューヨーク商業取引所で取引されているWTI(ウエスト テキサス インターミディエート)です。これは、文字通りテキサス州西部を中心に産出される油種です。硫黄分が少ない良質の軽質油として知られます。
ニューヨーク商業取引所で取引されているWTIの先物価格の中でも指標とされるのは、期近もの。つまり、その時点からもっとも近い将来に受け渡し・決済が行われる先物価格です。
世界的に見ればこのWTIは北米で指標的な存在とされていますが、ヨーロッパ市場では北海ブレントが、日本など東アジアでは中東ドバイ原油が指標とされています。これらの油種の中ではWTI価格がもっとも高い水準にあるのが普通です。
(2)ロイター ジェフリーズ CRB指数
国際商品指数の1つ。米国ならびに英国の取引所に上場されている原油、天然ガスなどのエネルギー資源、貴金属のほか穀物など19品目にわたる素材、原料(一次産品)価格を適切にウエイト付けたうえで、ある一時期(1967年)の値を100として指数化してあらわしたものです。
さまざまある国際商品指数のうちもっとも注目度が高い商品指数として知られます。他の国際商品指数に比べてエネルギーや鉱工業関連素材のウエイトが高いという特徴があります。ロイターなど関係機関によって毎日集計、公表されています。
米国のFRB(連邦準備制度理事会)が米インフレ率の先行指標としてとても注目している商品指数でもあります。実際このCRB指数の対前年比の動きを米国のインフレ率と対比させてみると、後者の動きにやや先んじてCRB指数が変化することが経験的に知られています。