第27話 SNSによるコミュニケーションを利用した高額な投資ソフトの販売

SNSとは Social Networking Service（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）の略で、携帯電話やスマートフォン、パソコンなどを利用して、登録した利用者同士が交流できるインターネット上のサービスです。

TwitterやLINE、Facebookなどが代表的なもので、友人や趣味仲間などとのコミュニケーションだけでなく、友だちの友だちなど人の輪を広げていく機能もあり、若者から高齢者まで広く浸透しています。

最近このサービスを悪用し、高額な投資用パソコンソフトなどを売りつけられる被害が増えています。

point1 仲間を装い甘い誘いが始まる

SNS上でつながっている人々は、実際に会ったことがある人とは限りません。例えば自分が好きなアイドルのカテゴリーに登録している人同士が、SNSを通じて友人関係になり、実際に会って交友を深めるということも決して少なくありません。

今回は業者が、こうしたSNSの仕組みを悪用し、あたかも“同好の士”であるかのように装って被害者に近づいています。

point2 趣味の話題から胡散臭い儲け話に！？

SNSのコミュニティなどで、メールや写真、情報のやりとりをして親しくなった友だちから、ある日「会って話さない？」とメールが送られてきます。被害者は、同じ趣味で気の合う友だちが増えると思って喜んで会いに行きます。

インターネット上で何度もやり取りをして親しい友人のように錯覚しがちですが、相手のことはほとんど知りません。

実際に会いに行くと、もう１人別の友だちも一緒で、趣味の話題から次第にお金の話になり、儲け話が持ち出されます。

毎月の給料から趣味に回すお金が限られていて思うように楽しめない現実に不満を持っている気持ちにつけこまれ、その友だちから「趣味に使うお金を捻出するためには投資が最適で、あるパソコンソフトを使えば必ず儲かる」と説明されます。

そして投資といっても安心、安全で誰にでもでき、リスクの無いものだと友だちが熱心に話すので、「話を聞くだけなら…」と思うようになり、一緒にそのソフトの体験ができる説明会に行くことになります。

point3 銀行でローンを組ませて売りつける

被害者が連れて行かれたのはとても説明会場とは思えないマンションの１室で、社名の表示もなく、机といすとパソコンが数台置かれているだけの部屋です。部屋にいた説明員からパソコンソフトの説明を受け、そこで初めて競馬予想ソフトということを知ります。

「競馬やパソコンに詳しくなくてもソフトをインストールするだけなので簡単」、「競馬の予想はソフトが自動でやってくれるので安心」と言われ、儲かるというシミュレーションも見せられます。

「お友だちも未経験だったが利益を出している、絶対儲かる」といった説明が続き、帰りづらくなってきます。さらに、そのソフトが高額なことがわかって断ろうとしても、説明員から「銀行で申し込めば留学資金や旅行資金といった名目で貸してくれますよ」と言われ、さらに儲けからローンはすぐに返済できると聞かされ断りきれなくなってしまいます。

point4 サポートもなくローンだけが残る

ソフトは、設定がいいかげんでサポートもないため、使いこなせません。儲からないのに、毎月ソフトのローンを支払わなくてはなりません。

いつの間にかSNSで出会った友だちとも連絡が取れなくなっていました。不安になって解約をしようと販売業者に連絡を取りますが「使い方が悪い、今さら解約はできない」と突っぱねられてしまいます。そのうえ、業者と連絡が取れなくなることもあり、結局、高額な借金だけが残ってしまうのです。