金融教育公開授業
平成20年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
宮城県金融広報委員会
本吉町立馬籠小学校
金融広報中央委員会
宮城/本吉町の実施報告
「金融教育公開授業 in 宮城(馬籠小学校)」(11月28日開催)
本吉町立馬籠小学校は、宮城県金融広報委員会から金銭教育研究校(19-20年度)の委嘱を受け、「ひと、ものを大切にする児童の育成~物やお金の見えない価値に気付かせる学習を通して~」をテーマに、家庭や地域と連携しながら熱心に金銭教育に取り組んできました。
11月28日(金)に開催しました公開授業には、同校児童のほか、学校関係者、保護者および地域の皆様など、多くの方々にご参加をいただきました。また、地元新聞社も取材に訪れました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
学年 | 教科等 | 題材 |
---|---|---|
1 | 学級活動 | ものをたいせつに |
2 | 学級活動 | 「もったいない」を考えよう |
3・4 | 図画工作科 | あつまって へんし-ん |
5・6 | 家庭科 | 楽しく作って使おう |
2年生の授業では、歯磨きをする際の水の量を手掛かりに「もったいない」活動を考えました。コップ1杯ずつの水を、毎日全員で節約したらどのくらいの量になるかを確認した後、自分たちの学校生活や家庭での「もったいない」の活動を振り返って発表しました。また、家族からのメッセージを受取り、今後の目標をたてました。
5、6年生の授業では、児童と地域のおばあさんがペアとなり、おばあさんからミシンの使い方などを教わりつつ、家から持ち寄った古い布等を使って雑巾やきんちゃく袋などを製作しました。
(公開授業の模様)
2.研究発表
「『ひと・ものを大切にする児童の育成』~物やお金の見えない価値に気付かせる学習を通して~」を研究主題として、同小学校教諭より実践事例等の発表がありました。同小の児童は、保護者同伴での買い物が多いことから買い物の経験が不足気味で、自分でお金を管理したり計画を立てて使ったりする経験も不足しているほか、普段から清掃活動や緑化活動などに熱心に取り組んでいますが、働くことの喜びや苦労を理解するまでには至っておらず、物やお金の背景にある様々な価値には気付きにくいという状態にあります。
同校では物やお金の「見えない価値」に意図的に気付かせていくことで、「もの」を大切にする心をはぐくみ、さらにはそれを生み出してくれた「ひと」そのものを大切にする児童を育てていくことができるであろうと考えて、研究活動を実践しました。「見えない価値」とは、そのものやお金の背景にある苦労、大切に使ってほしいと願う気持ち、そのものにまつわる思い出、文化的な意味合い等を含めた価値ととらえています。
実践を通じて、生活の中での「むだづかい」をしないようにお互いに声を掛け合って気を付ける姿が見られたり、保護者からは積極的に家の手伝いをするようになったとの報告もあり、家族に感謝する気持ちも育ってきたと窺えると報告がありました。
今後の課題として、「健全な消費生活能力や生活設計能力など、将来的に必要となる力についても身に付けさせること」、また、「家庭・地域との連携を図り、児童が自立していくために大切な金銭教育への理解と協力を求めていくこと」が挙がりました。
3.講演会
プログラムの最後に、「金銭教育を通してお金の持つ意味を考える」と題して横浜国立大学教育人間科学部教授である西村隆男氏による講演がありました。
西村氏は、まず、従来、お金は生活するうえで必須のツールであるにも関わらず、タブー視されており、とくに学校では明示的に取り扱われてこなかったこと、お金から社会をみてみると、近年は見えないお金が増えていることが多重債務問題の増大している一因でもあると話されました。
また、海外では比較的幼少の頃からお金に関する教育が家庭を含めて行われており、学校ではファイナンシャルリテラシー教育あるいは消費者市民教育(シティズンシップ教育)として行われていること、またこうした教育が環境への配慮やフェアトレードへの関心を高めていることを紹介されました。
金銭金融教育は人間形成の基礎であり、子どもの自立する力や社会とかかわる力を育て、判断力を養い、思考力を育成することができることから重要である旨、強調されました。金銭教育を推進する上では、学校内や家庭、地域との連携が欠かせないとまとめられました。
最後に、小学校で商品を企画して出店販売を行った実践記録のDVDを上映し、小学生の起業体験プログラムを紹介されました。
(講演会の模様)
4.プログラム
- 13:15~14:00
- 公開授業
- 14:20~14:35
- 開会挨拶 本吉町立馬籠小学校校長 須藤勝子
宮城県金融広報委員会幹事(宮城県生活・文化課長) 白石光雄
祝辞 本吉町長 森琢男氏 - 14:35~14:50
- 研究発表 「『ひと・ものを大切にする児童の育成』~物やお金の見えない価値に気付かせる学習を通して~」
発表者:本吉町立馬籠小学校教諭(研究主任) 小野寺美和 - 14:50~15:50
- 講演「金銭教育を通してお金の持つ意味を考える」
講師:西村隆男氏 - 15:50~16:00
- 閉会挨拶 本吉町教育委員会教育長 三浦良喜