金融教育公開授業
2012年度 金融教育公開授業
京都府金融広報委員会
舞鶴市立青葉中学校
金融広報中央委員会
京都の実施報告
「金融教育公開授業 in 京都(舞鶴)(青葉中学校)」(11月22日開催)
舞鶴市立青葉中学校は、「身体を働かせ、豊かな心と確かな学力を身につける」という教育目標を掲げ、生徒たちが21世紀を柔軟かつ的確に生き抜く基礎を培うための「生きる力」の育成に力を入れています。
平成24年度は、金融教育研究校の委嘱を受け、3年生を対象に「『自分』『社会』に目を向ける経済・金融学習」をテーマとして、金融教育に取り組んでいます。実践の狙いは幾つかありますが、今回は「市場のしくみと価格の決まり方」を学ぶため、社会科と数学科で連携して、社会科3時間、数学科1時間の計4時間でカリキュラムを構成しました。
カリキュラムでは、まず1時間目の社会科の授業で、舞鶴市東地区の広告・チラシや生協のパンフレットの中から、各班(9班)が特定の品目を2つ選び、その品目の2012年4月~11月の価格等を調査しました。次に2時間目の数学科の授業では、1時間目の社会科の授業で調査した各品目について、2012年4月~11月の価格の代表値を求め、価格の推移をグラフにしました。この数学科の授業では、販売日や販売店によって違う価格の中から、どれを代表値とするかが一つのポイントになりました。生徒たちは、かけ離れた数値(特売価格など)があるとそれに影響されてしまう平均値よりも、影響が少ない最頻値の方が今回のグラフ作成の目的・活用方法に適していることを学びました。
以上のような授業を経て、公開授業当日は、学習カリキュラムの3時間目に当たる社会科の授業を行ったほか、全校生徒等を対象として、加賀屋克美氏による講演会を開催しました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
「消費生活と経済のしくみ」と題した授業では、2時間目の数学科の授業で作成した12年4月~11月の価格推移のグラフを基に、今後(12年12月~13年3月)の予想価格とその根拠を各班で議論し、代表者が発表する形で進められました。
各班の議論では、「野菜の旬」の知識を活用したり、需要量や供給量が価格とどう関係するのかを考えたりしながら、生徒が各々自分の意見を述べ、班としての意見をまとめていきました。そして、価格推移のグラフに今後の予想価格を赤色のペンで書き加えました。
最後の発表では、各班で一つ品目を選んで(大根、食パン、巨鋒、アボカド、ヨーグルト、ゴーヤー、紅鮭切り身、アイスコーヒー、ティッシュペーパー)、それぞれの価格推移のグラフを黒板に張りだしました。各品目の価格は、時期によって大きく変動しているものや、年間を通して安定しているものなど区々でしたが、各班の代表者は、自分の班のグラフを指し示しながら、価格が変動する(または価格が安定している)と予想する根拠などについて発表しました。例えば、「大根は、おでんの時期が旬で、多く収穫できるから価格が下がる」、「食パンは毎日食べるものだから、原材料の値段が上がっても製品の値段を安定させるように、企業側が努力している」など、需要量と供給量の関係にも言及しながら、根拠等を明確に述べていました。
この授業では、価格の変動と、価格が決まる理由(根拠)を生徒たちに考えさせることで、現実の経済をより身近なものと捉え、市場経済の基本的な知識を身につけることができました。
なお、公開授業後に行われた4時間目の社会科の授業では、公開授業で作成した価格推移のグラフを用いて、需給曲線や物価の動きを理解し、物価変動の経済活動への影響について考えました。
2.講演会
公開授業の後、加賀屋氏から「日米のディズニーで教わった販売と感動のサービス」と題する講演が行われました。
加賀屋氏は、東京ディズニーランドを初めて訪れた12歳(小学校6年生)の時に、そこで働く人々―掃除をしている人までも―がみんな笑顔で働く姿に深く感銘を受け、「こんな素敵なところで働きたい」と思うようになったと話されました。
それから6年間、その思いを持ち続け、18歳で遂にジャングルクルーズの船長として、夢を実現しました。最初は、陽気でハイテンションな案内で、熱意を持ってお客様に接していましたが、1日50周以上のクルーズを毎日繰り返すうちに、「慣れ」と「飽き」から、仕事に対しての熱意が薄れかけたそうです。しかし、自分には毎回同じことの繰り返しでも、お客様にとってはその1回が全てで、その1回をお客様に楽しんで頂くこと、目の前のお客様を幸せにすることが、自分の仕事の「使命」だということにある時に気付き、それ以降は、再び熱意をもって仕事に取組まれたそうです。
加賀屋氏は、諦めないで自分の夢を追うことの大切さを説くと同時に、「働く」ということは、「傍を楽にする(傍・楽)」こと、誰かのために役立つことでもあると話されました。そして、相手のことを思いやること、その優しさを仕事で活かすことが大切だと語られ、優しさや思いやりを磨く一番の場所は、家、家族であり、家族に素直に“ありがとう”と感謝の気持ちを伝えることのできる人になってほしいと強調されました。
講演を聴講した生徒からは、「人を助けたり、楽しませるために仕事があるんだと思った」、「夢を追いかける気持ちや感謝の気持ちを持ち続けたい」などの感想が寄せられました。
3.プログラム
- 13:15~14:05
- 公開授業
「消費生活と経済のしくみ」(3年生・社会科)
授業者:舞鶴市立青葉中学校教諭 木下浩子 - 14:20~14:30
- 開会挨拶
舞鶴市立青葉中学校校長 渡辺弘
主催者挨拶
京都府金融広報委員会会長 鎌田沢一郎 - 14:30~15:50
- 講演「日米のディズニーで教わった販売と感動のサービス」
講師:加賀屋克美氏 - 15:50~16:00
- 生徒代表 お礼のことば
閉会挨拶
舞鶴市立青葉中学校教頭 廣瀬直樹