金融教育公開授業
2013年度 金融教育公開授業
大分県金融広報委員会
大分県立津久見高等学校
金融広報中央委員会
大分の実施報告
「金融教育公開授業 in 大分(津久見高等学校)」(12月5日開催)
大分県立津久見高等学校は、1939年に津久見町立工業学校として創立された歴史のある伝統校です。1948年には、大分県立津久見高等学校となり、さらに2012年には、同校と大分県立臼杵商業高等学校、同海洋科学高等学校が発展的に統合し、新たな大分県立津久見高等学校が開校しました。
同校は、ボクシングやフェンシング、レスリング、ロボット相撲等、部活動も盛んで、野球の強豪校としても有名です。過去には春の選抜・夏の甲子園の両大会を制したことでも全国に知られており、数多くのプロ野球選手を輩出しています。
また、「至誠 感動 進取」の校訓の下、「調和のとれた豊かな人間性を育み、自ら人生を切り拓くたくましい人間を育成する」ことを教育方針に掲げています。
12月5日(木)に金融教育公開授業を開催し、1・2年生を対象とした5クラスでの公開授業と、いちのせかつみ氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「ビジネスとお金の関係」
授業ではまず、1)金融とは何か、2)借金をするとどういう仕訳になるのか、という説明があり、生徒たちは、企業はお金を借り金利を払ってまで何をしたいのかについて考えました。
次に、借入金を10年間元利均等払いで返済すると仮定して、毎年、返済すべき金額(元金・利息)を計算しました。生徒たちは、返済の初期では利息の金額が大きく元金がなかなか減らないこと、次第に元金の返済額が大きくなっていくこと、金利が異なると10年間で総返済額が大きく変わってくることを学習しました。
最後に、今回の学習を通して、将来、自動車ローンや住宅ローンを組む際には、金利についてよく考えるよう促されました。
(2)「国民経済と金融&経済」
まず、生徒たちは配付されたプリントを使いGDPやGNP、経済成長率などの用語を把握しました。その後、世の中に出回っているお金の動きや景気の良い状態と悪い状態の解説を聞き、野菜の価格が高騰する場合の需要曲線と供給曲線を描いて、物の価格の決まり方について学習しました。
(3)「電子商取引の活用」
最初に、生徒に対して「電子商取引という言葉を聞いたことがあるか」という問いかけがなされましたが、知っているという生徒はわずかでした。その後、企業と消費者との間でどのような電子商取引が行われているのかについて、実際にタブレット端末を利用して体験しました。クリスマスツリーをネットオークションで購入するという模擬体験を行い、着払いやエスクローサービスなどの商品受け渡し方法や代金決済の仕方を学びました。生徒たちは、ネットオークションでトラブルに遭わないための注意点(出品者の名前や住所・電話番号などを確認して取引するなど)や電子商取引のメリットとデメリットについて学習しました。
(4)「運転資金って何?」
導入として、「お金は経済の血液」というキーワードを示し、経済におけるお金は、体の中の血液と同じで、お金が循環することが健全な状態であること、余ったところから不足するところへ橋渡しすることが金融の役割であることが説明されました。その後、企業における資金の使い方は、「運転資金」と「設備資金」に分かれ、運転資金のための借入金は正常な経営の取り組みであることを学びました。最後に、模擬紙幣を使用し、紙幣の数え方など(鑑査事務)を実習しました。
(5)「モノの値段について考えよう」
今回の授業では、1)国や法律が通貨の信用を保証していること、2)流通・価値尺度・価値貯蔵の「通貨の三機能」が発達した歴史、3)低品位コインや紙幣が発明された背景、4)管理通貨制度下においては通貨発行量の増減に伴って物価が上下すること、5)デフレーションやインフレーションの危険性について学習しました。また、通貨や商品が取引される市場のような完全自由競争市場では、需要と供給の関係によって価格が決定されること、供給量や需要量が変化する諸要因、各要因によって価格や取引数量がどのように変化するのかについて、グループで話し合い発表しました。最後に、各自が自身の経済的な自立度について、チェックシートを用いて考えました。
2.講演会
公開授業の後、いちのせかつみ氏を講師に、「知ってて得するお金のはなし」と題する講演が行われました。
いちのせ氏は、世の中で成功している人は良い出会いがあったと認識している人が多く、周りの人との関係を大切にしているかどうかが重要なポイントとなっていると話されました。
また、サラリーマンとフリーターの生涯賃金を比べてみると、サラリーマンでは3億円程度であるのに対して、フリーターは6千万円程度と、その差は5倍となっていると説明され、家族を持って生活していくためにはきちんと職を持つことが重要であると強調されました。
さらに、携帯電話の中毒症状である「携帯依存症」が問題視されていると話され、携帯電話やスマートフォンに自分の人生を支配されないこと、メールを利用した悪質商法にひっかからないこと、自分が被害者になるだけでなく、知らないうちに加害者になってしまうこともある、といった注意点を説明されました。
最後に「ヤミ金」について、金利が法外に高いことを具体的な数字をあげて説明され、お金はできるだけ借りないように自分のお金でやりくりして生活し、犯罪やトラブルに巻き込まれないように人生を送って欲しい、と締めくくられました。
参加者からは、「知らないことがたくさんあり、お金の話は恐いなと思った」「金融というともっと堅苦しく難しい話と思っていたが、とても面白く色々な話が印象に残った」といった声が聞かれました。
3.プログラム
- 13:25~14:15
- 公開授業
(1)「ビジネスとお金の関係」(会計システム科1年・簿記)
(2)「国民経済と金融&経済」(総合ビジネス科1年・ビジネス基礎)
(3)「電子商取引の活用」(会計システム科2年・ビジネス情報)
(4)「運転資金って何?」(総合ビジネス科2年・マーケティング)
(5)「モノの値段について考えよう」(電気電子科2年・現代社会)
授業者:大分県立津久見高等学校教諭 永野孝、白石隆夫、塩手朗輝、小幡英二、池端敬介 - 14:30~14:35
- 開会挨拶
大分県立津久見高等学校校長 朝生能文 - 14:35~15:55
- 講演「知ってて得するお金のはなし」
講師:いちのせかつみ氏 - 15:55~16:00
- 閉会挨拶
大分県金融広報委員会副会長 岩崎淳