金融教育公開授業
2018年度 金融教育公開授業
福岡県金融広報委員会
嘉麻市立碓井小学校
金融広報中央委員会
福岡/嘉麻市の実施報告
「金融教育公開授業 in 福岡(嘉麻市)(碓井小学校)」(11月2日開催)
嘉麻市立碓井小学校は、福岡県のほぼ中央部に位置し、2006年に1市3町の合併により誕生した嘉麻市にあります。かつて筑豊有数の炭鉱都市として栄えましたが、現在はすべて閉山しており、人口減少や急激な過疎化が進んでいます。本校も、全校児童240名の小規模校になります。「碓井っ子 “う”んどう大すき “す”なおな心 “い”っぱい学ぶ」をスローガンに、一人ひとりの個性を尊重した教育を行っています。
11月2日(金)に金融教育公開授業を開催し、全学年を対象にした公開授業、研究発表、あんびるえつこ氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「ようこそ!ひまわりストアへ」(ひまわり2組 生活単元学習)
ひまわり学級では、自分たちで計画・作成した商品を販売する「ひまわりストア」の開店に向けて、役割分担をして、接客の練習をしました。「1学期のひまわりストアをふり返り、レベルアップしよう」というゴールに向けて、「必要な役割を増やす」、「電卓を使って代金を速く計算する」、「お金の種類を増やす」など、お店の人の工夫に迫る意見が子どもから出されました。実際の練習場面では、緊張しながらも先生や保護者の方に一生懸命接客をする姿が見られました。この学習を通して、代金とおつりの仕組み、お金と品物の等価関係などを理解することができ、お金を大切にしようとする気持ちを持つことができました。
(2)「きいろい ベンチ」(1年2組 道徳科)
導入では、事前アンケートをもとに、学校の中には約束や決まりがあり、それぞれに理由があることを確かめました。その後、学校外にはどんな約束や決まりがあるかを考えました。展開では、まず、泥のついた靴のままベンチの上に乗って紙飛行機を飛ばしていたときの男の子たちの気持ちを考えました。次に、おばあさんの言葉を聞き「はっ」として顔を見合わせたときの男の子の気持ちを、役割演技をしながら考えていきました。続いて、「男の子たちがどんな行動をとればよかったのか」を考え、自分の考えとその理由を発表し合いました。発表を通じて、みんなが気持ちよく過ごすことができるように約束や決まりがあること、みんなが使うものは大切にすべきことに気づくことができました。まとめでは、今までの自分を振り返り、これからどんなことを頑張っていきたいかを考えました。
(3)「かいもの」(2年1組 道徳科)
三匹の子ぶたが、協力して買い物をしたときの気持ちを考える活動を通して、よく考え工夫して買い物をすることの大切さに気づくという学習をしました。三匹は100円ずつをもらって商店街に遠足のおやつを買いに行きます。ブンタとノンタは、アイスクリームやマジックカードなどに目をうばわれそうになります。子どもたちの目の前にもおもちゃやアイスなどを掲示し、そういう気持ちを感じさせました。トンタが「だめだめ、おやつを買いに来たんだよ」と二匹を止め、「良いアイディア」を考えます。「良いアイディア」とは何か、児童に役割演技させたり、発表し合ったりしてもらうことを通じて、お金をつかうときに大切なことは何かを学びました。
(4)「友だちの しょうこ」(3年2組 道徳科)
父の話を通して、自分の気持ちを素直に見つめ直す主人公の心の変容に着目させながら、お金や物の使い方について自分のできることを考えて行動することの大切さを学びました。心情を表わす円グラフを活用しながら、「友達とおそろいの筆箱がほしくてたまらない気持ち」、「お母さんから『よく考えなさい』と諭されて苛立つ気持ち」、「お父さんの話を聞いて、『やっぱり買うのはやめよう』と考えを改めた時の気持ち」について考えていきました。その過程で、「本当に必要かどうか考える心」、「物を大切にする心」、「買ってくれた人の気持ちや思いに気づく心」の大切さを感じとることができました。そして、自分たちの生活を振り返り、これから自分たちにできることを具体的に考えました。
(5)「見積もりを使って」(4年2組 算数科)
導入として、子どもたちにとって身近なおやつの買い物をとりあげて、細かな金額で多くの品物をどう「簡単に」、「はやく」、「正確に」金額内で買えるのか、買えないのかを判断する方法を考えました。これまで学習してきた概算等の計算方法の工夫を、一人ひとりが考え交流しあうことで、まとめる方法のよさに気付いていきました。最初は、商品ひとつひとつを概数にして概算する子が多くいました。商品2つをまとめて概数にすることで、足す数も少なくなり、「簡単に」、「はやく」、「正確に」見積もることができたことなどにより、最後にはまとめる方法のよさに多くの子が気付いていました。今後、遠足等でおやつを買う時に、このまとめる方法を使って見積もりができるようになってほしいと思います。
(6)「めざそう買い物名人」(5年2組 家庭科)
物を買うための情報を集め、情報を比較し、長所や短所を考え、自分の目的に合ったより適切な物を選ぶことができようにする、というねらいで授業を行いました。今回は、学習に必要な「日記用のノート」を、目的や手順を確かめながら選ぶという内容でした。価格や分量、品質などの情報を集め、比較し長所や短所を考えていきました。友達とも考えを交流し、自分の考えを深めていき、自分の目的に合った物を選ぶことができました。今まで一つの情報で判断することが多かった子が、今回の学習を生かし、今後は情報を集め、比較検討し、目的に合った物を選ぶことができるようになってほしいと思います。
(7)「電気の性質とその利用」(6年1組 理科)
日本では、火力発電の割合がとても高いこと、その燃料として天然ガスや石炭などが大量に消費されていること、その際に排出される二酸化炭素が地球温暖化の原因であることなどを、国語科の既習内容と関連付けながらこれまで学習してきました。そして、今回の授業では、発光ダイオードと豆電球とで電気の使われ方に違いがあるか調べるための実験を行いました。その結果、発光ダイオードの方が消費する電気の量が少ないことがわかりました。その結果をふまえ、地球環境や限りある資源を守るために、発光ダイオードをどのように利用すればよいか、自分にできることは何かなどについて考えていきました。
2.研究発表
平成29年度に福岡県金融広報委員会から金銭教育研究校の委嘱を受け、「対話しながら、自分の考えを高める金融教育の授業~問いづくり・思考づくり・価値づくりの授業展開を通して~」を研究主題として、金融教育の研究に取り組んできました。その内容について増本研究主任より研究発表がありました。
3.講演会
公開授業の後、あんびるえつこ氏から、「お金のしつけ ~子どものお金の教育を考える~」と題する講演が行われました。まず初めに「子どもに金融教育が必要な3つの理由」として、今の子どものおこづかいのあり方では意思決定が学べないこと、FinTech時代の到来により欲望のコントロールや社会との関わり方を身につけることが難しくなっていること、子どもの未来は不確実であるため多角的なものの見方が必要であること、を挙げられました。
次に、会場の参加者の方に「カレー作りゲーム」や「とりほうだいゲーム」を行ってもらいました。“トレード・オフ”や“希少性”について学ぶゲームを実際に体験してもらったうえで、お金や資源を計画的に使うこと、今あるものを活かす知恵の大切さなどについて説明されました。
参加者からは、「子どもにお金のことをどのように教えるべきか悩んでいたので、今日の講演会は良いヒントになった」、「今の子どもたちのおこづかいの現状を聞いて、お金についての教育はとても大事だと思った」といった感想が寄せられました。
4.プログラム
- 14:00~14:45
- 公開授業
(1)「ようこそ!ひまわりストアへ」(ひまわり2組 生活単元学習)
(2)「きいろい ベンチ」(1年2組 道徳科)
(3)「かいもの」(2年1組 道徳科)
(4)「友だちの しょうこ」(3年2組 道徳科)
(5)「見積もりを使って」(4年2組 算数科)
(6)「めざそう買い物名人」(5年2組 家庭科)
(7)「電気の性質とその利用」(6年1組 理科) - 15:00~15:30
- 開会行事
主催者挨拶 嘉麻市立碓井小学校校長 松尾正剛
来賓挨拶 嘉麻市教育委員会教育長 木本寛昭
研究発表 嘉麻市立碓井小学校研究主任 増本幸治 - 15:35~16:35
- 講演「お金のしつけ ~子どものお金の教育を考える~」
講師:あんびるえつこ氏 - 16:35~16:40
- 閉会挨拶
福岡県金融広報委員会事務局長 明知聖士