金融教育公開授業
2018年度 金融教育公開授業
東京都金融広報委員会
東京都立小平西高等学校
金融広報中央委員会
東京/小平市の実施報告
「金融教育公開授業 in 東京(小平)(小平西高等学校)」(10月5日開催)
東京都立小平西高等学校では、部活動・学校行事・ホームルーム活動を大切にし、生徒の健康な心身を養い、思考力・判断力・表現力を磨き、人間力を鍛えるとともに、社会への貢献や他者への理解について考え方を深める教育を行っています。また、全ての教育活動において、学校のスローガンである「私はできる」を生徒に体験させ、揺るぎのない自信を持って未来に挑む心を育てる教育に取り組んでいます。
10月5日(金)に金融教育公開授業を開催し、3年生を対象とした公開授業のほか、研究協議を実施しました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
「確定拠出年金」をテーマとしました。公的年金制度を補完する機能がある確定拠出年金制度は老後の大切な生活資金と関係するものであり、全ての生徒にとって同制度を活用した資金運用に関する知識や技能が必要であるとの問題意識に基づき、「確定拠出年金におけるポートフォリオの作成」を行いました。生徒がペアワークで、運用に伴う各種リスクを分析し、収益シミュレーションを行ったうえで、確定拠出年金のポートフォリオとして最適と考えられる資産構成を導き出しました。
運用商品として、国内債券型・先進国債券型・新興国債券型・国内株式型の4つを想定し、この4つの運用商品の収益の変動リスクのほか、外国為替変動リスクやカントリーリスクといった3つのリスクを分析の対象としました。
収益の変動リスクについては、4つの運用商品のデータを基に、それぞれの平均収益率、リスク値を算出し、商品毎のリスク・リターンの関係を整理しました。
外国為替変動リスクについては、先進国債券型に関連するアメリカ・ドルおよび新興国債券型に関連するトルコ・リラの為替レートのデータを基に、各為替レートの推移と度数分布をグラフ化し、リスクを可視化しました。
カントリーリスクについては、アメリカおよびトルコにおける諸問題がカントリーリスクとなり得るかといった観点から検討を行いました。
こうした分析を踏まえ、確定拠出年金のポートフォリオとして最適と考えられる4つの運用商品への投資割合を導き出し、その構成に基づく収益シミュレーションを行いました。
このように、生徒は多面的なリスク分析を行ったほか、積極的にペアワークに取り組み、対話の中から多角的な考察を行っていました。ペアによっては、リスク分析段階での議論が白熱し、収益シミュレーションまでたどりつけなかったペアが出るほど、授業は盛り上がりました。
2.研究協議・指導講評
公開授業の後、「当校における金融教育の取り組み」、「教科横断型授業」、「特別支援教育の視点」の3点をテーマに、研究協議を実施しました。
まず、小平西高等学校の竹達健顕教諭から、これまで取り組んできた金融教育の実践について、その成果や今後の可能性を含めて報告が行われました。
続いて、法政大学経済学部教授の河村真氏から指導講評をいただきました。まず、ハリー・マーコビッツの分散投資理論について解説いただいたうえで、本公開授業への同理論の反映の仕方について意見をいただきました。また、カントリーリスクについては、外務省が渡航危険度を数値化して公表していることから、定量的なリスク分析に活用できるのではないかとの助言もありました。最後に、高校生のうちから標準偏差の知識・技能を身につけることができる授業は高大連携につながる優れた取り組みである、との評価をいただきました。
その後、新学習指導要領を踏まえ、「教科横断型授業」、「特別支援教育」の観点からの協議も行いました。参加者からは、「本公開授業のように、教科を横断することによって、生徒の興味・関心が広がる。主体的に取り組むきっかけにもなる」との指摘がありました。また、特別な支援が必要な生徒への対応についても、「ペアワークが有用である」といった意見がありました。
3.プログラム
- 11:45~12:35
- 公開授業
「確定拠出年金におけるポートフォリオの作成」(3年生 政治・経済) - 12:45~12:50
- 開会挨拶
東京都立小平西高等学校副校長 室岡誠一 - 12:50~13:50
- 研究協議・指導講評
- 「当校における金融教育の取り組みについて」
- 「教科横断型授業について」
- 「教科における特別支援教育について」
- 発表者:小平西高等学校教諭 竹達健顕
- 指導講評:法政大学経済学部教授 河村真氏
- 「当校における金融教育の取り組みについて」
- 13:50~13:55
- 閉会挨拶
東京都金融広報委員会事務局長 野崎光