金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2010
暮らしに役立つ講演会
講師 : 荻原 博子 氏 (経済ジャーナリスト)
デフレ下の大鉄則は「借金減らして現金増やせ」
昔、豊田商事で詐欺に遭った人の名簿は、だまされやすい人の名簿として非常に高額で売買されていて、その人たちは原野商法でもだまされていました。被害に一度遭うと悪人たちが何度も来るので、まずは、最初に引っ掛からないようにしなければいけません。
ナイジェリア詐欺というのが最近出てきて、政府高官などを騙って「今、私の口座で取引するのが難しいので、20万円差し上げますから、あなたの口座をちょっと貸してくれませんか」と誘いをかけてきます。若い人だと「どうせ一銭も入ってないからいいですよ」ということになって、外国からのマネーロンダリングに協力してしまうなどという事件が山のように起きています。そういう時は、まず家族に相談してみることが一番大切です。それと、あんまり欲をかかないこと。もうかりそうな話が来るっていうことは、逆におかしいと思わなければいけませんね。
今、貯金は確かに利率0.02%ですが、デフレ下の今は現金の価値が上がっているんです。去年、1万円だったものが9,500円になっているということは5%利息が付いているのと同じです。現金を持っているだけで5%の貯金をしているのと同じなんです。
デフレで駄目なのは借金です。月給40万円の方が月々10万円の住宅ローンを払っているとすると、それは25%に当たります。ところが給料が30万円に減れば33%にいきなり増えるんです。だから今、デフレの中での大鉄則は「借金減らして現金増やせ」です。
あとは「知らないことをやらない」。国を挙げて投資を勧めたのが大きな原因だと思いますが、何か投資をしなきゃいけないみたいな感覚をもってしまった方が多いんです。銀行の窓口や保険のおばさんに「何かいい商品はない?」って聞いたら、一番手数料のいい商品を勧められるに決まっています。勉強するのはいいのですが、セールスをしている人にきくのは大間違いです。まずは自分で考えて、分からなかったら現金で持っていればいいんです。
プロフィール
1954年、長野県に生まれる。明治大学文学部日本文学科卒業。
経済事務所勤務ののち、1982年、経済ジャーナリストとして独立。保険、年金、家計、住宅問題をはじめ複雑な経済の仕組みを身近な視点からわかりやすく解説することに定評があり、テレビ、新聞、雑誌等で活躍。デフレ経済下では家計を守る生活の知恵を伝授する。
著書:『家計・非常事態宣言』(朝日新聞社)、『現ナマ主義』(KKベストセラーズ)ほか