金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2010
暮らしに役立つ講演会
講師 : 住田 裕子 氏 (弁護士)
「長寿社会を安全・安心に暮らすために」
筋力、金力、近力――3つの“きん力”で自立できる心身を
2008年の日本人の平均寿命は、女性が86歳、男性も79歳まできました。もはや65歳以上を老人扱いしては困るということです。ここで大事なことは、自分1人でしっかりやっていけるもう1つの寿命、「健康寿命」です。少し古い統計ですが、女性の「健康寿命」は77歳、男性は72歳だということです。これは、介護のお世話になる期間が女性で約10年、男性でも約7年はあるということを意味します。行方不明になった100歳以上の方の問題でも分かるように、身内ですら信用できなくなってきています。万が一のことを考えたら自分でもしっかりこうしていこうと覚悟しておくのが、これからの世の中では大事だろうと思います。
長生きをして気をつけることは、被害者、特に犯罪被害者にならないことです。送りつけ商法、展示会商法、霊感商法……さまざまな手口で高齢者は狙われます。一定の年齢がきたらお金の管理は信頼できる人に任せ、被害に遭いかけてもクーリング・オフ制度などで切り抜けて下さい。
長寿社会でできるだけ自立できる心身を維持するには、筋力、金力、近力の3つのきん力をつけることです。
寝たきりにならないために、男性は脳卒中、心筋梗塞などの血管病の予防を。女性は骨粗鬆症からの骨折を防ぐことが大事。それにはスロー・トレーニングと歩くことが有効です。ふくらはぎは第二の心臓と言われています。がんの予防には、よく笑い、日本古来の発酵食品を食べて免疫力を上げることです。認知症予防には、好奇心を持ち、他人の話をよく聴き、いろんな勉強をし、多くの人と交わって楽しい関係を作るのが一番です。金力については、頭の体操も兼ねて、残りの人生でのお金の使い道を考え、投資する時は対象と満期の時期を変えて、リスクを分散させて下さい。社会の中で上手に生きていくには、身近な人とのつながりを大事にする近力も必要です。
プロフィール
兵庫県加古川市出身。東京大学法学部卒業。昭和54年東京地検検事任官、大阪等各地の地検検事として転勤。昭和62年、法務省民事局付検事(女性初)。平成元年、法務大臣秘書官(全省庁初の女性)。平成8年、弁護士登録。内閣府(男女共同参画会議、総合科学技術会議)、文部科学省、経済産業省の審議会委員など歴任。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」ほか出演中。著書・論文多数。NPO長寿社会の安全安心な暮らしを実現する会代表。