金融教育フェスティバル2010

　金融教育のねらいを明確にし、どのように学校の教育活動に位置付け、効果的に展開できるかというお話をいたします。

　金融広報中央委員会は、「よりよい生活と社会づくりに向けて主体的に行動できる態度を養う」ことを金融教育の最終目標に設定し、金融教育を「経済や金融のしくみに関する分野」「消費生活・金融トラブル防止に関する分野」「キャリア教育に関する分野」「生活設計・家計管理に関する分野」の４分野に分けています。

　どの学年で何を扱うかは学習指導要領に定められており、先生方のお仕事は、これによりながら子どもたちにどんな力をつけさせるか、そのための授業内容と方法を考え、実践していくことです。一方、金融教育を進めるに当たっては、学習指導要領に基づく授業の中に、金融教育のねらいを意識した授業を位置付けていくことが大切です。金融教育のねらいは、お金や金融の働きを理解させ、自分の暮らしや社会について深く考えさせ、良さ・公正さなどの生き方や価値観を磨かせる点にあります。

　各校の状況に応じて可能な教科等から取り入れる取り組みを進めたいものです。さまざまなアプローチから金融教育に迫り、全体的な効果を発揮させて、子どもたちに金銭感覚や生活能力を身につけさせるように進めていくのが大切です。小学校の場合は、ほぼすべての教科を１人の先生が担当しているので、各教科等を見渡しながら位置付けを明確にすることができます。中学、高校ではそれが難しいとの印象もありますが、身近なお金の働きに着目して切り口を作っていくことが大切です。金融教育に関連の深い内容を膨らませたり広げたりする方法がやりやすいと思います。

　まず、やっていただきたいのは、子どもの生活感覚、金銭感覚、お金の使い方、見通しや将来の生活について、どういうことを意識して、どんな生活スキルを持っているかを、各学校段階に合わせて把握し、どこに課題があるかを明確にすることです。次に、金融教育の展開を教科等との関連を整理しながら明確にしていくことが必要です。また、生活とお金に関わる身近な題材に目を向け教材として活用することや、シミュレーションゲーム、ロールプレイングなどの学習活動、購買や販売にかかわる体験的な活動、地元の人材活用など、様々な方法を工夫することが有効と考えます。