金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2010
金融教育セミナー 北海道会場
(NPO法人)日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
常務理事(CFP®認定者)
伊藤 宏一 氏
「こう立てよう!我が家の生活設計―幸せな未来をこの手に」
理想は60歳退職時に3,000万円の金融資産
今は時代の大転換期です。とくに2年前のリーマンショック以来、世界経済の枠組みが変わってきて、アメリカ基軸からアジア基軸のグローバル化が始まっています。国内では、成熟社会を迎え人々は様々な生き方を選択できるようになっています。こうした中で、年金・医療・介護保険制度が不安定になり、格差も拡大、様々な生活リスクが顕在化してきています。
自分の人生に見通しと目標を持って将来の生活設計を立てることが必要ですが、目の前のことをこなすことに埋没すると、将来そのツケが必ずやってきます。いい時もあれば、悪い時もあります。悪い時こそ希望を胸に忍耐力をもって、荒波を乗り越えていくことが大切です。そのための指針となり、たえず立ち戻るのが自分のライフプランということです。
100歳以上の方が4万人以上いる長寿社会では、健康に気をつけて人生のピークを70代以降にもっていくのが生活設計のポイントです。化石燃料依存の時代が終わりを迎え、低炭素社会に対応した持続可能なライフスタイルに転換しないといけません。
ライフプランは、本人の生き方や価値観に基づき、「家族と生活」、「仕事」、「ファイナンス」の3本柱で立てます。家族と生活は、家族形態、衣食住から子育て・教育・住宅・医療・介護などを考えておくことです。仕事=キャリアプランは、「エンプロイアビリティ」と英語で言いますが、雇用されうる能力、仕事がちゃんとできる能力を身に付けることもライフプランニングの一環です。ファイナンスはお金の話です。資金計画をちゃんと作る、家計管理、消費の管理、貯蓄や投資・保険・税金・年金・不動産・相続……、これらについて一定の知識を持って計画を立てることが大切です。紙に10年後、20年後の家族の年齢を書いて、教育資金、住宅資金、老後資金がどうなるかを考えるだけでも、どこにポイントがあるか分析できます。仕事人生の転機になる40歳で、老後に向けて見直すことが重要になります。介護の問題も手を打っておく必要があります。
成熟社会の人生モデルを考えると、(1)夫婦共働きで互いの失業・減収リスクを補っていく、(2)キャリアアップのために常に学ぶ、(3)住宅は中古住宅に修繕して耐久性を増すのを基本とし、住宅にかける費用とローンを抑えることがポイントです。人生100年とすれば、60歳の退職時に夫婦で公的年金・企業年金以外の金融資産が約3,000万円あるのが1つの目安です。3,000万円あって税引後2%で運用できれば、年60万円の利益なので、月5万円使える計算です。住宅ローンは完済し、豊かな人的資産も形成されている状態を目指したいものです。
お金が貯まらないという人は、収入から支出を引いた残りを貯蓄に回しているからです。お金を貯めるためにはそうではなくて、収入の一定額を将来のために貯蓄や投資に回します。その残りで家計の管理をするのが「お金が貯まる法則」です。
(NPO法人)日本ファイナンシャル・プランナーズ協会とは
ファイナンシャル・プランニングの普及及びその担い手のファイナンシャル・プランナーの養成により、国民の金融リテラシー向上に寄与することを目的とするNPO法人です。