金融教育フェスティバル2010

子どもを取り巻く環境が大きく変わっています。少し前までは、「子どもは6個のポケットを持つ」と言われていました。両親と双方の祖父母、計6つの財布から物を買ってもらっている、という意味です。今は独身貴族のおじ、おばを加えて8個です。子どもたちは、お小遣い以外にもお金をたくさんもらっているのです。

そんな子どもたちの懐を、企業が狙っています。あの手この手で宣伝して子どもたちの消費欲を刺激しているのです。テレビでは、人気キャラクターがCMに登場して、「合体なんとかロボ」を紹介します。郊外に続々とできている大型ショッピングセンターは、ゲームなどで子どもにお金を使わせる有料の遊び場になっています。幼いころから友情関係の維持にお金を掛けるようになっています。困ったことに、そうしたサービスの消費は大人に見えにくいのです。

我慢を一番身につけなければならない時期の子どもが、いつでも、どこでも物を買える環境に置かれていることは大問題です。ジャン＝ジャック・ルソーは書いています。「子どもを不幸にする一番確かな方法は、いつでも何でも手に入れられるようにしてやることだ」と。こうした中で、子どもたちは自分の欲望を制御する能力を育てなくてはならないのです。今の小学生の親の世代も同じように育ってきました。だから親子で学ぶことが大切なのです。買い物に行く時は買い物の目的を話しながら行き、子どもと一緒に買うのも、我慢を教える有効な方法です。わが家なりのルールを決めておくのもいいでしょう。そこから将来の法令順守の心も芽生えてきます。

子どもたちにいま一番やってほしいゲームは、「カレー作りゲーム」と「キャンディーゲーム」です。「カレー作りゲーム」で子供たちに分かってほしいのは「欲望は無限だが、お金は有限」、「キャンディーゲーム」では「お金も環境も資源も、好きなように使っていくと必ず足りなくなる」ということです。自分だけじゃなくて他人や地球のことも考えて意思決定していくことを学ぶ、それがこれからの時代を生きていく子どもたちの「生きる力」になります。