金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2010
金融教育セミナー 東京会場
日本銀行 情報サービス局
総務課長
石井 正信 氏
「日本銀行の役割と景気の見方」
デフレ脱却を目指す
本日は景気の見方と日本銀行の役割についてお話しします。
景気を表す代表的な指標が国内総生産(GDP)です。もう1つ重要なものがマインドです。マインドとは、皆さんがどう思っているかということです。大きくはこの2つが全体を表す景気指標とご理解ください。
部分的な指標としては、例えば、自動車登録台数、賃金、鉱工業生産などがあります。こうした個別の経済指標を全部集計したものがGDPだと概念としては見ていただければと思います。このGDPの変化率を経済成長率と呼んでいます。
マインドについての代表的な指標として、日本銀行の「短観」(「全国企業短期経済観測調査」)があります。これは全国1万1,000社の企業の方に、景気が今「よい」「さほどよくない」「悪い」のうちどれか選んでいただくなどのアンケート調査を3カ月に1度行うものです。
景気循環は、景気が悪いところから良くなったところまでが1サイクルで、日本の景気循環は戦後14回ありました。リーマンショック後2009年3月に底を打って、回復してきたというのが今の足元の状況です。景気の現状把握や将来予測に使うため、内閣府の作る「景気動向指数」があります。これには、一致指数、先行指数、遅行指数の3つがあります。機械受注など景気の動きに先行するものを先行指数、失業率など景気より少し遅れるものを遅行指数といいます。
景気についての私なりの見方を、「企業と家計が景気の主役」とまとめてみました。物をつくる企業とそれを消費する家計の両方で経済は成り立っています。日本の場合は特に海外経済も非常に重要な要素です。政府の役割もやはり重要です。
景気動向のチェックポイントは、海外経済が順調かどうか、企業が余分な設備・人員・借金を抱えていないか、企業の収益や家計の所得は増えているか、です。
日本銀行は明治15年(1882年)にできました。財務大臣の認可を経て設立されている法人です。資本金は1億円あり、株式ではなく出資証券の形です。出資証券はジャスダックに上場しており、財務大臣の持つ55%以外は流通しています。日銀は、(1)日本銀行券の発行および円滑な流通の確保、(2)効率的で安全な決済システムの運営、(3)金融システムの安定確保、(4)物価安定の維持(金融政策)の4つの仕事をしています。
金融政策につきましては、現在、日本の景気は緩やかに回復しつつあるものの、輸出や、生産の増加ペースが鈍化してきており、改善の動きに一服感がみられる状況です。そのような中で日本銀行は、景気が良くなり、デフレから脱却できるようにということで金融政策を行っております。
具体的には、現在、実質ゼロ金利を物価の安定(消費者物価でみてだいたい1%程度)が見通せるようになるまでは続けていくことにしております。また、資産買入等の基金を創設し、株価指数連動型投資信託、不動産投資信託などのリスクの高い資産も積極的に買い入れていこうとしております。
こうした政策を通じて、日本経済がデフレから脱却できるよう頑張っていきたいと考えております。
日本銀行とは
わが国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、物価の安定や金融システムの安定に努めています。