金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2011
金融教育セミナー 鹿児島会場
全国銀行協会
企画部次長
内田 浩示 氏
知っていますか? 最近多い金融犯罪 ~知識があなたの預金を守る~
「振り込め詐欺」は依然多発しています。平成20年には276億円、単純に計算すれば、銀行1営業日あたり約1億円の被害があるような状況でした。このため、警察・金融機関・消費者センター等が対策に取り組み、21年96億円、22年82億円と減少しましたが、23年は再び増加し100億円を超えてしまいました。
その多くは「オレオレ詐欺」です。これは、息子や孫になりすまして電話し、事故示談金などの口実でお金を振り込ませるものです。被害者の多くは、「オレオレ詐欺」を「元々、知っていた」、「騙されない自信があった」などと答えていますが、それでも騙されてしまいます。
最初の電話では「携帯電話番号が変わった」とだけ伝えられ、番号登録を変更すると、次の電話の時には息子の名が表示されます。また、「オレオレ」とは言わず、同窓会名簿などで息子の名を調べてかけてくることもあります。息子だと思って声を聞くと、電話では意外と声の違いに気付かず、息子さんだと信じてしまいがちです。そのうえ、例えば、午後2時頃に電話をかけてきて、「会社のお金を使い込んだ(落とした)。今日中に返せば許してもらえる」、「不倫相手を妊娠させた。示談金が要る」、「友達の連帯保証人になった。取り立てに何をされるかわからない」などと動揺させ、「3時までに急いで振り込んで」と助けを求めたりします。
「振り込め」と言わない例も半数近くあります。警察官、銀行員、銀行協会職員等を名乗って電話し、暗証番号等を聞き出し、キャッシュカードを預かり、預金を引き出す方法や、息子が会社の金を使い込んだなどという口実で、現金を用意させて、会社の人を名乗る者が受け取りに来るというようなタイプも増えています。
「オレオレ詐欺」以外にも、手紙や電子メールを利用して架空の請求をする「架空請求詐欺」、中小企業や個人商店に低利で融資するなどのチラシ等を送りつけ、問い合わせた人から保証金・申込金などを騙し取る「融資保証金詐欺」、税務署や社会保険事務所の職員を名乗って電話し、税金や保険料を返還しますと言ってATMに誘導し、機械操作を指示して振込ませる「還付金等詐欺」、未公開株や社債等の儲け話を騙る「利殖勧誘詐欺」などがあります。
対策としては、(1)相手に名乗らせる、(2)留守番電話を活用する(証拠を残したくない相手は電話を切る)、(3)家族で合言葉を決めておく、(4)一人で判断せず本人や家族、警察や消費生活センターに相談する、(5)警察官、弁護士等を名乗った場合は番号案内などで実在を確認する、(6)ニュースに注意して最近の手法を知る、(7)ATMの利用限度額を下げる、などです。万が一、被害にあった場合、犯人の口座にお金が残っていれば、「振り込め詐欺救済法」にもとづき、被害者に分配される制度もあります。被害にあったと思ったら、振込先の銀行と警察にすぐ届けて下さい。
金融犯罪には、このほか、偽造・盗難キャッシュカ-ド、盗難通帳、インターネット・バンキングなどによる「預金の不正払戻し」の被害もあります。対策としては、(1)暗証番号の管理を徹底する(他人に知らせない、推測されやすい生年月日などは使わない、ロッカー等の暗証番号と同じ番号にしない、カードに書かない、定期的に変更する等)、(2)キャッシュカードの管理(人に渡さない等)、(3)磁気カードに代えてICカードや生体認証を活用する、(4)通帳と印鑑を別々に保管する、(5)パソコンは最新のウイルスチェックソフト等が入った自宅のものを使い、偽ホームページへの誘導や情報入力に注意する、などです。
金融機関では、口座開設時の本人確認、ATMでの携帯電話自粛要請、声かけ、不正利用口座の停止などを行っています。
全国銀行協会とは
国内で活動する銀行等を会員とする業界団体で、刊行物やホームページ、講師派遣「どこでも出張講座」などを通じて、銀行業務に関する様々な啓発活動に取り組んでいます。