金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2011
金融教育セミナー 東京会場
日本証券アナリスト協会
編集企画部長 CMA® CFP®
園田 耕三 氏
証券投資で失敗しないために -株式、債券、投信等との付き合い方
投資の前に、まず家計全体を考えましょう。「知るぽると」ホームページの「家計の資産管理簿」や「生活設計診断“ミニ”」を利用しましょう。運用商品を選択する際には、(1)流動性(換金しやすさ)、(2)安全性(損を出す可能性)、(3)収益性(期待できる利益)がポイントです。3つとも高い商品はなく、流動性・安全性が高ければ収益性は低く、収益性が高ければ流動性・安全性は低くなります。「当面必要なお金」はまず流動性を考えるべきで、安全性も大切。「将来使う予定のあるお金」は安全性が重要で、あまり利益を狙って冒険すべきではないでしょう。「余裕資金」なら利益を狙ってよいかと思います。
証券投資のリスクには、債券や株式の価格が上下する「価格変動リスク」、投資先が倒産してお金が返ってこないといった「信用リスク」、外貨建て資産の円ベースでの価値が上下する「為替変動リスク」などがあります。リスクへの対応策の第一は「分散投資」です。リスク特性が異なる商品を組み合わせると、リスクを打ち消し合って、全体のリスクを小さくできます。金融商品の分散、銘柄分散、通貨分散などです。第二は「時間の分散」です。例えば定期的に一定額の投資をしていけば、価格が上下する中で平均購入単価を平準化できます。第三は「長期投資」です。目先の相場にとらわれず長期保有し、利子や配当を再投資していけば複利効果も期待できます。
債券は、国や企業が投資家からお金を借りる借用証書です。通常は発行時に定めた返済期日まで定期的に一定の利子を払います。債券価格は変動する(市場金利と反対の動きをする)ため、満期前に売却すると損が出ることがあります。発行体が倒産したりすると手元に戻ってくる金額が元本を大幅に下回ることもあります。債券の中では国債が最も信用力が高く、流動性に優れます。社債は流動性が低く、格付をよく確認すべきです。
株式は、会社が事業に必要な資金を募るものです。株式を買うと株主として会社の経営に参加する権利を得ます。株価は理論的には将来にわたる配当予想を現在価値に割引いて評価したものですが、将来の配当予想は不確実で、株価は大きく変動します。株式を買うときは、その会社が悪い情報も含めて公開しているか確認し、会社の内容をよく知ったうえで、応援するような気持ちで買いましょう。
外国債券や外国株式は、高い金利や経済成長が魅力ですが、為替変動リスク、カントリーリスクがあり、為替手数料がかかることに注意しましょう。投資信託は、多くの投資家から資金を集め、専門家が運用します。共同投資によるスケールメリット、分散投資によるリスク軽減、専門家による運用・管理が利点です。
最後に、証券投資には色々な費用がかかります。手数料、信託報酬、信託財産留保額など、買う前によく費用を確かめてください。
日本証券アナリスト協会とは
証券アナリスト(CMA®)の育成と社会的地位の向上を目指し、1962年に設立された公益法人です。個人会員数2万4千名、法人・賛助会員数492社・団体で組織(2010年12月末現在)されています。