金融教育公開授業
平成17年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
北海道金融広報委員会
北海道の実施報告
「金融教育公開授業in北海道(池上学院高等学校)」
平成17年10月19日(水)、池上学院高等学校(札幌市豊平区)において、生活経済ジャーナリストでFP(ファイナンシャルプランナー)のいちのせかつみ氏を講師に招き、金融教育公開授業が開催されました。当日は、2、3年生84名のほか、保護者13名、学校関係者8名、北海道金融広報委員会関係者等10名の合計115名が参加しました。
池上学院高等学校は、平成16年4月に開校した新しい学校です。理事長の池上公介先生は、商家出身で、「1円の重み」について幼い頃よりご両親に教えられてきたご自身の経験を踏まえ、生徒の父兄やFPの方々の協力も得て、教育プログラムに金融教育を取り入れてこられました。同校は、17年4月から、北海道金融広報委員会より金融教育研究校の委嘱を受け、より積極的に金融教育に取り組んでいます。
校長の池上喜重子先生は、「生きるためにはいろいろな力が必要ですが、その中でも、お金に関する力をつけることは本当に大切なことです。3年生は間もなく卒業しますが、社会に出て、お金の問題に直面することになるでしょう。4月からの金融教育研究校としての取り組み、そして今日の金融教育公開授業が、必ず将来役立つことを確信しています」と挨拶されました。
公開授業「悪徳商法について ~知らんとあかん!ちょっと怖~い“お金”の話~」
(講師 いちのせかつみ氏)
授業では、金融に関わる犯罪の手口や被害内容について、たくさんの具体例を交えたお話がありました。さらに、クイズなども織り交ぜながら、クーリングオフ制度について理解を深めました。また、無人の機械で受付を行う消費者ローンが増え、気軽にお金を借りられるようだが、金利の高いローンは、要返済額がどんどん膨らんでやがて返済できなくなると説明しました。さらに、個人情報を悪用したヤミ金の手口などを紹介し、個人情報の扱いについては、十分に注意を払う必要があると注意を喚起しました。
最後に、「お金は使い方によって幸せにも、不幸にもなるので、かしこいお金の使い方のできる大人になってほしい」というメッセージで、授業は締め括られました。
受講した生徒さんたちからは、「お金について、普段考えない『怖さ』という面からも考えることができる良い機会となった」、「自分の金銭感覚の甘さを思い知った」、「悪徳商法や詐欺被害への対応など、これから社会に出て行くに当たって、知っておかなければならないことだと感じた」などの感想が聞かれました。
(公開授業の模様)
講演「こどもはお金がすきやねん ~今、金融教育が必要なわけ~」
(講師 いちのせかつみ氏)
いちのせ先生は、金融教育が必要であることの背景として、昔と今とで、子供を取り巻くお金の環境が大きく変化していることがあると指摘しました。
例えば、子供たちにとって不可欠な存在となっている携帯電話について、お財布ケータイなど機能が多様化し、使い方次第で非常にお金が掛かるものになっており、クレジットカードを持つより怖い面があると話しました。ある高校では、1ヶ月に30万円も使ってしまった生徒がいたそうですが、「果たしてそれだけの価値のある使い方をしていたのかどうか」と疑問を呈しました。
また、現金でお給料が支給されていた時代は、子供たちは、両親が働いているからお金がもらえるということを目で見て感じることができたが、今は、それを実感できる機会が失われていると指摘しました。そして、子供の金銭感覚や職業観を養うには、家庭などでも工夫していくことが必要だが、おこづかいの渡し方を工夫することで、子供たちの健全な金銭感覚を養うことができると提案しました。
また、20歳を過ぎると、とたんに様々なトラブルに狙われるリスクが増えるため、契約や悪質商法、ヤミ金の手口などについて、きちんと知ることが大切であること、また、被害に遭いそうになった場合は、消費者センターや警察に相談に行くべきことなど、注意を喚起しました。
参加者からは、「知らないうちに自ら個人情報を漏らしているかもしれない話など、お金の大切さ、怖さなどを実感させられた」(保護者)、「日ごろから子どもにお金の大切さを知らせるにはどうしたら良いか悩んでいたが、今日の講演を参考に、おこづかいから見直したい」(学校関係者)などの感想が聞かれました。