金融教育公開授業

平成18年度金融教育公開授業（全国リレー講座）

金融広報中央委員会
神奈川県金融広報委員会

神奈川の実施報告

「金融教育公開授業 in 神奈川（海老名高等学校）」（12月13日開催）

12月13日、神奈川県立海老名高等学校において金融教育公開授業が行われました。神奈川県での公開授業は、同校が初めてとなります。当日は、同校の梶ヶ谷穣教諭が「経済ニュースからアプローチする『金融経済』学習」をテーマとする公開授業を１年２組(40名)に対して行った後、弁護士の住田裕子氏から生徒や教育関係者、保護者の方々等に向けた「気をつけよう！金融トラブル　―高校生にこれだけは知っておいてほしいこと―」と題する講演がありました。

▼ 参加者内訳：

公開授業　75名（うち生徒40名、開催校教員12名、開催校保護者5名、他校教員5名、その他13名）
講演　　543名（うち生徒480名、開催校教員30名、開催校保護者12名、他校教員6名、その他15名）

公開授業　「経済ニュースからアプローチする『金融経済』学習」

公開授業の模様(1) 金融経済に関する報道事例を材料にして、「違法ではないが、公平や公正の観点から望ましくない行為があるのではないか」、「違法でなければお金を儲けてもよいのか」を生徒に考えさせる授業が行われました。まず、金融広報中央委員会の「子どものくらしとお金に関する調査」における高校生の集計結果から、「法律違反でなければ、どんなことをしてお金をかせいでも良い」と考える高校生が全回答者の18.8％いたこと、「おつりが多くとも店員にいう必要はない」と回答した高校生の割合が42.8％であったことなどの紹介がありました。

公開授業の模様(2) 続いて、昨今大きく報道された粉飾決算やインサイダー取引、株取引の誤発注に伴う利益獲得などの事例について、新聞報道記事を材料に背景や基本概念を説明しながら、それぞれの行為が違法か合法か、（合法の場合）公平や公正の観点から望ましくない行為かどうかという点を、生徒とともに考えていきました。生徒たちは、単に金融経済の理論や制度を学ぶだけではなく、身近に感じられる事例を提示されて生き生きと授業に取り組み、積極的に考えていました。また、授業の冒頭と最後に、「１．一攫千金を目指す！」、「２．ある程度たくさんの『お金』が欲しい」、「３．生活できるだけの『お金』があればいい！」、「４．『お金』なんていらない！」の４つの選択肢から生徒一人一人に選択させたところ、１．と２．を選んだ生徒の人数が授業の後で大幅に減ったのが印象的でした。

講演会「気をつけよう！金融トラブル　―高校生にこれだけは知っておいてほしいこと―」

講演に先立ち、神奈川県金融広報委員会事務局の佐藤次長より、「公開授業に引き続き、皆さんもよく知っている先生に講演をお願いしているので、いろいろ学んで生かして頂きたい」との挨拶、また伊藤伸子校長先生より、「金融トラブルの加害者はもちろんのこと被害者にもならないよう、しっかり勉強して下さい」とのご挨拶がありました。

続いて同校の１、２年生徒(480名)に加え、保護者、教育関係者の方々も参加して、住田裕子弁護士による講演が行われました。まず始めに、よく質問される「弁護士になった理由」と「ダイエットの秘訣」について先回りして話され、「良妻賢母が当然視された時代に一生仕事を続けるために司法試験を目指した。その後も当初嫌だと思った仕事がやってみると面白くなった経験もあり、まずやってみることが大事だと実感した」、「続けられるダイエットのためには筋力トレーニング、有酸素運動、食事をきちんと摂ることが必要だが、日々チャレンジしてそれまでの限界を突破しようとする意志も大切」と述べられ、生徒たちは身近な話題だけに興味津々で聞いていました。

住田弁護士によるご講演の模様講演の本論では、日常生活で起こり得る金融トラブルとして、売買契約における債務不履行や値札の読み違い、申込みがないのに商品を送りつける商法などを紹介し、法的根拠も含めてトラブルの対応策を示されました。また、訪問販売や電話勧誘に関するクーリングオフ制度を解説し、高金利での融資やマルチ商法などに注意を喚起しました。さらに、証券取引法などの大改正に伴い成立した金融商品取引法における投資家保護の規定を紹介しつつ、金融商品購入時の心構えを説明されました。