金融教育公開授業
平成19年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
和歌山県金融広報委員会
みなべ町教育委員会
みなべ町立岩代小学校
和歌山の実施報告
「金融教育公開授業 in みなべ(みなべ町立岩代小学校)」(11月30日開催)
みなべ町は、和歌山県の中央に位置し、大粒で肉厚な梅として有名な南高梅の産地です。地域の特産物である梅は日本一の生産量と品質を誇っています。岩代小学校では、地元の名産を活かすかたちで、JAなどの協力を得て、梅干作りについて学んでいましたが、平成18-19年度に金銭教育研究校として、さらに体験活動や調べ学習を発展させて、金銭や物に対する正しい価値観を身に付け、勤労意欲を育てる活動を行ってきました。
11月30日(金)に開催した公開授業は、生活科(1-2年生)・総合的な学習の時間(3-6年生)における年間の学習指導の一部であり、6月の収穫・塩漬け、9月の天日干し・樽詰め、前日の塩抜き・水切りに続く、しそ漬けの作業を、商品化を展望して行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
「みなべの梅学習」では、梅干作りもいよいよしそ漬けの段階に入りました。ゲストティーチャーの出口氏(JAみなべいなみ農協)が示した注意点は、(1)品質管理(潰れやすくなっているため、丁寧に扱うこと)、(2)衛生(かびないように焼酎で消毒すること)、(3)表示(この後、パック詰めするときには正確に表示すること)、の3つです。1~6年生の縦割り班で構成されるグループごとに仕事を分担(しそを量る、樽内に詰める、梅酢を計る、消毒をするなど)し、前方に示された手順に従って、班ごとにリーダーを中心に進めていきます。樽に梅やしそを重ね合わせてしそ酢を入れた後は重石をして、蓋をしますが、手順が合っているかどうかを児童が自分達で確かめつつ行いました。


量が増えていることや樽のサイズが小さめであったことから、昨年より時間がかかる結果となりました。終了後、「樽の中に梅を潰れないように並べるのが大変だった」(1年生)、「しそを量るのが大変だった」(2年生)、「しそを梅の上にひくのが大変だった」(6年生)などの感想が児童から聞かれました。


この後、しそ漬けされた梅を室内干しして、パックに詰めるほか、パソコンなどを使ってラベルやポスター・チラシを作り、2月に販売を行う予定となっています。
2.研究報告
同校は、研究主題を「働くことの尊さを学びながら、人やものの大切さを知り、自ら実践する子どもを育てる──『みなべの梅学習』を中心にして」と設定し、梅学習の年間記録を石上教諭が紹介しました。完熟して木から落ちた梅を拾う様子や、出来上がった梅干を販売したり、潰れて売り物にならないものを食育も兼ねておにぎり作りをし、5・6年生が調理した豚汁とともに、全校生徒で食した模様、昨年度の販売収益の使い方については、寄付をする、お別れ遠足に使う、繰越金として貯金する、などの候補が上がる中、お別れ遠足の活動において利用し、6年生への記念品を購入したことが報告されました。また、この学習は、地元のTV番組でも継続的に取り上げられ、地域へ情報還元されています。
年間の活動を通して、児童は協力して活動することの大切さに気づき、高学年が低学年の面倒をよくみるようになったこと、地域の産業に対する興味や関心が高まったこと、教職員に活気・意欲・連携が生まれ、教員間での役割分担がスムーズに行われたこと、が成果として、学習がマンネリ化しないような創意工夫や検討が今後の課題として報告されました。
研究発表に続き、同校の梅学習は、「梅をつかんだときに一つやぶれてしまった、梅にごめんなさいと心の中で謝った」、「梅干を買ってくれた人が喜んでくれるといいなと思った」といった児童の感想から垣間見えるように、ものを大切にする心、働くことの喜びが児童の中にうまく育っており、大きな研究成果となっている旨、講評されました。中でも、地域の方々が熱心に指導・協力していることが、先人の知恵や工夫を学ぶとともに、梅という商品を大切に扱う心を児童が感じ取ったと考えられ、今後も、家庭や地域とのつながりをさらに強めて、同校における金銭教育をより広げていくことを期待したいと締めくくられました。
3.講演会
陣内恭子氏が「子どもたちの生きる力と金銭教育~こころを育てるお金のはなし~」と題して、小学生に対するお金の教育の重要性を話されました。家庭においてこづかいをツールとして用い、子どもにこづかいを渡すとともに、必ず使うもの(例えば、文房具)を自分で準備させると、親は子どものお金の使い方を冷静に見ることができること、子どもの中に、今買うのか後にするのか、これを買うのかそれともあれを買うのかといったものさし(選択基準)を育てることができることが紹介されました。また、最近のように食品が値上がりしていることを親子の話題にするなど、台所には金融経済教育の材料がたくさんあることから、子どもに社会へ目を向けさせることも可能であり、家事をさせることで自立と自律を促す効果もある旨説明されました。
(講演会の模様)
4.プログラム
- 13:00~13:45
- 公開授業「みなべの梅学習『しそ漬け』」
- 14:05~14:15
- 開会挨拶
和歌山県金融広報委員会事務局長 佐竹哲治
みなべ町教育委員会教育長 荒堀清隆
和歌山県教育委員会学校教育局小中学校課市町村支援室推進班長 葛原昌文 - 14:15~14:50
- 研究報告 みなべ町立岩代小学校教諭 石上貴一
指導講評 和歌山県教育委員会学校教育局小中学校課教育指導室指導主事 濵上修 - 14:50~15:50
- 講演「子どもたちの生きる力と金銭教育~こころを育てるお金のはなし」
講師:陣内恭子氏 - 15:50~16:00
- 閉会挨拶 みなべ町立岩代小学校校長 小山智久