金融教育公開授業
平成20年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
群馬県金融広報委員会
高崎市立佐野小学校
群馬/高崎市の実施報告
「金融教育公開授業 in 高崎(佐野小学校)」(1月26日開催)
高崎市立佐野小学校は、高崎駅から約2キロに位置する住宅地にあり、全校生徒900名を超える大規模な小学校です。また、明治7年創立と歴史もあり、親子3代が通学する子どもたちもいる学校であると同時に、東京への新幹線通勤が珍しくなくなったことから都内通勤者の子どもたちも多く在籍する学校でもあります。
同校では「ゆたかな心、たしかな知恵、たくましい体」を持った児童の育成を目標としており、平成19年度から金銭教育研究校として、学校全体で取り組んでいます。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業・講評
「おこづかいについて考えよう」と題し、よりよいお金の使い方をテーマに授業が行われました。これまでの買い物における反省を踏まえて、「無駄遣いをしないこと、買わなくてもよいものは買わないこと」を目標に、各自500円分の買い物ゲームをしました。グループごとに買い物をする側と商品を販売する側に分かれ、購入した商品名と価格をこづかい帳に記帳しました。
購入したものを、学用品、食べ物、趣味のもの、その他に色分けをした後、ワークシートに必要なものとそうではないものに分類し、お金の使い方を振り返ってみました。同じ消しゴムでも、人によって必要なものに分類したり、必要でないものと考えたり、異なっていました。お金の使い方について、子どもたちからは「必要かどうかよく考えてから買う」、「欲しくないものは買わない」、「余ったら、貯金する」といった意見が出されました。
この授業に対して、高崎市教育委員会の常本指導主事は、「小学校においてお金についての授業は一般的とはいえないので、勉強できることは非常にラッキーなことであること、お金は家族が働いて得たものであるため、お金について学ぶことを通じてお金では買えないものを学習することができ、将来にわたってお金で失敗しない人になれるでしょう。」とまとめました。
(公開授業の模様)
2.講演会
鎌田靖氏が「お金はつながっている」と題して、模型を用いて最近の景気悪化について解説しました。まず、人気のあるものは値段が上がる(例えば、儲かっている会社の株価は上がる)ということ、お金儲けをするには安いときに買って高いときに売るのが基本であること、ファンド(基金)は他人のお金を預かって儲けを得ることを目的としていることの説明がありました。次に、米国のサブプライムローンは、景気の良い時期に、通常であればローンを組めない人に対して高めの金利で住宅ローンを提供した商品であること、このローンの権利が世界中で売買されたことが現在の景気悪化の背景にあると解説されました。すなわち、米国の住宅の値段が下がってしまい、住宅ローンを返せない人が増え、ローンの権利を購入していたファンドは儲けが出せなくなり、投資家がファンドから資金を引き上げようとし、ファンドが株を売却するため株価が下落するという動きにつながったこと、米国でものが買われなくなったため、米国に輸出していた中国やインドなどでは工場での生産が減少したこと、日本でも米国ならびに中国への輸出が減少したことから、米国以外の国でも景気が悪くなったと話されました。お金は世界とつながっているために、サブプライムローンの権利に生じた問題が現在の世界的な景気悪化のきっかけとなってしまったと説明されました。
また、会社の経営が悪化するにつれ、給料が減るのみならず、「派遣切り」と報道されているように解雇される事態も生じていること、仕事がないと働くことができず、生活ができなくなり困るが、働けなくなることはそれだけではなく、生きがいがないことや人と人とのつながりがなくなってしまうことでもあり、大変良くないことであると説明されました。お金が世界とつながっているように、若いみんなも世界とつながることが必要であり、日本のみに引きこもらず世界の人とつながってほしいと力説されました。
(講演会の模様)
3.プログラム
- 13:40~14:25
- 公開授業「おこづかいについて考えよう」(5年生・学級活動)
授業者:高崎市立佐野小学校教諭 伊佐美香 - 14:25~14:30
- 講評 高崎市教育委員会 指導主事 常本公志
- 14:45~14:55
- 開会挨拶 群馬県金融広報委員会事務局長 片貝好昭
- 14:55~15:40
- 講演「お金はつながっている」
講師:鎌田靖氏 - 15:40~15:50
- 閉会挨拶 高崎市立佐野小学校校長 石黒知明