金融教育公開授業
平成20年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
香川県金融広報委員会
三豊市立二ノ宮小学校
金融広報中央委員会
香川/三豊市(高瀬町)の実施報告
「金融教育公開授業 in 二ノ宮(三豊市立二ノ宮小学校)」(2月12日開催)
二ノ宮小学校が在する「三豊市高瀬町」は、三豊市の東部に位置し、周囲を山に囲まれた田園地帯です。香川県では名の知れたお茶の産地で、高瀬町二ノ宮地区で採取されたお茶を『高瀬茶』と呼びます。同校では、このお茶を利用して消臭剤作りに挑戦したりしています。この間、金銭教育研究校として、平成19年度から2年間、総合的な学習や学校行事等を通じて金融教育に熱心に取組んでいます。
公開授業・講演会には、全校児童(総計102名)および教職員のほか、保護者、近隣の小中学校の先生方など、多くの方々にご参加頂きました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1) 「もったいないキッズ大作戦」(2年生、学活)
2年生は“もったいない”に焦点をあて、授業がすすめられました。日本は電気の消費量が世界第3位との情報に子どもたちからは驚きの声があがりました。
その後、生活の中で見つけた“もったいない”をグループごとに発表しました。電灯をこまめに消したり、お風呂の残り湯を洗濯に使うこと等が提案され、お金の無駄使いをなくすことを意識しました。また、ゴミの分別がリサイクルに繋がることや廃材でおもちゃを作ること等が提案され、こうした活動は、「また使える」、「自分も良い気持ちになる」、「それが地球のためにもなる」という意見に発展しました。
授業の終わりには、生活の中で自分にできることを見つけ、進んで『もったいない運動』を行っていけるように、おうちの人へ約束の手紙を書きました。
ものや人とのかかわりを大切にし、よりよい生活をめざそうとする子どもたちの姿が垣間見れる時間となりました。
(2) 「英語活動を通してのショッピング」(4年生、総合的な学習の時間)
4年生は日常生活に密着した“買い物”を取り上げ、英語でコミュニケーションをとりながらクッキー作りに必要な材料を購入する模擬体験をしました。
買い手(消費者)の立場だけでなく、売り手(販売者)にもなることにより、同じ商品でも売り手の意思で値段が違うことが分かったほか、賞味期限の近いものをセール品として売り出す手法も出されるなど、工夫して売買している様子が窺えました。
また国によって使われている貨幣が違うことから、外国のお金について関心を持つとともに、国が違ってもお金の役割は同じであることを認識し、お金のもつ意味を考えるきっかけとなりました。
2.研究発表
「ものや人とのかかわりを大切にし、よりよい生活をめざそうとする子どもの育成─体験活動を通して、考えたり行動したりして、生活に役立てることができる子どもづくり─」という研究主題のもと、お小遣いやお年玉の使い方を話し合ったり、アルミ缶回収の体験を通して、ものを大切にする心を育てながら、自立する力を養いました。また、委員会活動や野菜作り活動などを通じて人の役に立つ喜びを実感しながら、社会と関わる力を伸ばしました、と発表されました。
今後も将来に向けて金銭感覚を磨き、自立して社会と関わりながら生きることが出来る態度を身につけられるよう、さらに研究を深めていきたい、とまとめられました。
3.講演会
いちのせ氏は、まず、お金はどうやって手もとにくるのかと問いかけ、「働く(人が動く)」、「傍(はた)楽(らく)」の意味を説明されました。
コンビニやスーパーは、消費者の購買意欲を高めるために商品の陳列やチラシのレイアウトを工夫していることなどを話されました。また、買い物をするときは、“欲しいものなのか”“必要なものなのか”を見極められる、「賢くお金とつきあえる人」になって欲しいと伝えました。
その後、携帯電話の話では、様々なトラブルが多発していることを具体的に説明し、使い方への注意を促すなど、子どもに対して無条件に携帯電話を持たせる危険性を話されました。さらに有料の機能・無料の機能があることに気づかせ、自分にあった使い方やルールを親子で話し合って決めたうえで、価値ある使い方をしてほしいと訴えました。
最後に、昔話『桃太郎』は幸せを掴むための方法を伝える物語だと話されると児童からは驚きの声があがりました。鬼ヶ島に挑む桃太郎は三匹の動物を家来にしますが、それは子どもの成長を示しています。仲間を大切にして思いやるイヌは心を鍛えること、知恵のあるサルは頭を鍛えること、勢い良く突き進むキジは体を鍛えることを、それぞれ象徴しており、自分自身で心と頭と体を鍛え、鬼という人生の壁や困難を自分で克服し、幸せを掴んでいってほしいと締めくくられました。
4.意見交換
金銭教育の題材については、日常の中にある全てのものが教材となり得る。例えば環境教育や食育教育等、別々のものとして捉えるのではなく、金銭教育に繋げて考えるとよいのではないか。金銭教育は幅の広い教育である、と示されました。
また、金銭教育というものは、取組んだからといってすぐに目に見えて成果として表れるものではないが、意識を持って生活をすることで、子どもたちに考えるきっかけを作ることができる。そのためには、家庭・地域・学校が一体となって続けていくことが大切との認識で一致しました。
5.プログラム
- 13:30~14:15
- 公開授業
(1) 「もったいないキッズ大作戦」(2年生、学活)
(2) 「英語活動を通してのショッピング」(4年生、総合的な学習の時間) - 14:30~14:35
- 開会挨拶 香川県金融広報委員会事務局長 坂本直久
- 14:35~14:55
- 研究発表「ものや人とのかかわりを大切にし、よりよい生活をめざそうとする子どもの育成」
発表者:三豊市立二ノ宮小学校 教諭 森糸千惠 - 14:55~16:00
- 講演「お・か・ねって?」
講師:いちのせかつみ氏 - 16:00~16:05
- 閉会挨拶 三豊市二ノ宮小学校校長 松岡千鶴子
- 16:15~16:45
- 意見交換