金融教育公開授業
2014年度 金融教育公開授業
東京都金融広報委員会
渋谷区立鉢山中学校
金融広報中央委員会
東京/渋谷区の実施報告
「金融教育公開授業 in 東京(鉢山中学校)」(2月14日開催)
渋谷区立鉢山中学校は、若者文化の街「渋谷」とファッショナブルな街「代官山」、これらの街から歩いてすぐの住宅街にあります。全校生徒は約100名の規模ですが、コミュニティスクール(学校運営協議会)に指定され、保護者、地域の方々の意見を学校運営に反映させて、進んで学ぶ創造性豊かな生徒の育成を目指しています。
同校は、平成25・26年度の金融教育研究校として、「社会の一員として、心豊かに生活するために」をテーマに「キャリア教育」の実践に2年間全校で取り組みました。2月14日(土)に金融教育公開授業を開催し、全学年を対象に、公開授業と洞口氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「職場訪問発表会」
1月に実施した職場訪問の事後学習として作成した新聞をもとに、発表会を行いました。発表会では、生徒が職場訪問でインタビューした職場の様子や仕事の内容、その仕事をしていて良かった点や苦しかった点などのほか、職場訪問を通して各々が学んだことなどが報告されました。全員の発表終了後には、第一東京弁護士会の方から講評をいただきました。
職場訪問や発表会を通じて、生徒からは、「様々な企業・業種があることに大変驚いた。まだまだ知らない仕事があると思うので、いろいろ調べたい」、「働くことの大変さがわかった。親に感謝したい」などの声が聞かれたほか、弁護士会の先生から一人一人の発表に講評していただいたことで、生徒の意識もより高まり、充実した発表会となりました。
(2)「受験のための経済学」
翌年に控えた高校受験に向け、自分の進路にかかる費用を生徒自ら具体的に算出することにより、現実を理解し、学習意欲の向上につなげる授業を行いました。
授業ではまず、公立の学校と私立の学校を1校ずつ受験すると仮定し、実際に学校の資料などを確認しながら、高校受験にかかる費用を算出しました。次に、入学金や授業料、交通費など入学後の学校生活にかかる費用を、公立の場合と私立の場合に分けて算出し、受験から高校卒業までにかかる費用の合計額を計算しました。
生徒たちは、高校を卒業するまでに多くのお金が必要であることに驚いた様子で、「育ててくれた家族に感謝したい」、「将来のことを考えて、今から勉強することが大切だと感じた」などの感想が聞かれるなど、有意義な授業となりました。
(3)「転ばぬ先の杖」講座
外部講師(國學院大學法科大学院教授・今井秀智氏)により、まもなく高校生になる3年生に向けて、トラブルに対処し自立して生きていくための講座を行っていただきました。
今井氏は、授業の冒頭に、生徒に対し「なぜ法律や裁判が必要なのだと思いますか」と問いかけ、それは私たちが自由であるからこそであり、自由を守るために存在しているのだと話されました。 また、「自由があれば必ず衝突が起こり、対立や紛争も起こる。この『自由→紛争→解決』という流れを社会のシステムとして恒常的に持つ社会が『良い社会(平和な社会)』であり、目指すのは、 一人ひとりが最大限尊重される『個人の尊厳の尊重』である」と述べられました。
講座では、生徒とのやりとりが活発に行われ、難しい内容を視覚的にもわかりやすく説明いただき、楽しく学ぶことができました。
2.講演会
公開授業の後、洞口勝人氏による「中学生のためのマネーセミナー~将来設計のために~」と題する講演が行われました。
洞口氏は、身近な商品や事象を扱ったクイズ形式で、日本の現状を「見える化」しながら話されました。例えば、1本100円のペットボトルのお茶から、仕入れ値や人件費などを生徒に考えさせたり、1万円の買い物をした場合のスーパーの利益を予想させたりして、分かりやすく経済のしくみを説明してくださいました。
また、日本、中国、バングラデシュにおける働く人の時給を示し、国によって大きな差があることや、1万円を定期預金に1年間預けたときの利息が税引き後2円にしかならないことなどを具体的に説明され、生徒たちは驚きながらも楽しく金融や経済について学ぶことができました。
最後に、洞口氏から、「将来、どこで、誰のために何をしたいですか」との問いかけの後、「中学生の今の時期に、将来どのように生きていくのかを一人ひとりが十分に考えてほしい」というメッセージをいただきました。
生徒からは、「クイズ形式で金融について楽しく勉強できた」、「働く人の時給や新聞の値段などが国によって大きく違うことに驚いた」、「企業が利益を出すための苦労や大変さを知ることができた」、「1円の大切さがよくわかった」などの感想が寄せられました。
3.プログラム
- 9:45~10:35
- 公開授業「社会の一員として、心豊かに生活するために」
(1)「職場訪問発表会」(1年生 総合的な学習の時間)
(2)「受験のための経済学」(2年生 総合的な学習の時間)
(3)「転ばぬ先の杖」講座(3年生 社会<公民的分野>) - 10:45~10:50
- 開会挨拶
渋谷区立鉢山中学校長 千葉広美 - 10:50~11:50
- 講演「中学生のためのマネーセミナー~将来設計のために~」
講師:洞口勝人氏 - 11:50~11:55
- 閉会挨拶
東京都金融広報委員会事務局長 宮阪隆彦