金融教育公開授業
2015年度 金融教育公開授業
静岡県金融広報委員会
静岡県立藤枝北高等学校
金融広報中央委員会
静岡の実施報告
「金融教育公開授業 in 藤枝(藤枝北高等学校)」(11月17日開催)
静岡県立藤枝北高等学校は、静岡県の中央部である藤枝市に位置し、校訓「自彊不息」のもとに「知・徳・体の調和を図り、幅広い視野を持ち社会の変化に主体的に対応できる個性と感性豊かな人間の育成に努める」を基本理念に、生徒が充実感を保ち、保護者や地域に期待される学校づくりを目指しています。
平成26年度より、静岡県金融広報委員会から金融教育研究校の委嘱を受け、金融教育に関する各種の活動を行っています。
11月17日(火)に保護者・地域の方々・教職員などを対象とした金融教育公開授業を開催し、総合学科の強みを活かした各種の公開授業と菊地幸夫氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「財政の3つの機能」
財政の役割等について、3人組のグループを作りグループワークで意見を出し合う形で学習しました。資料から読み取った内容をまとめ、最後に各グループの代表が発表を行いました。
(2)「金利(単利・複利)について調べよう」
お金を借りる時のために、金利を様々な条件で計算し、支払総額の違いを比較しました。単利、複利の計算方法について、金額を変えたり年利率を変えたりしながら計算を行いました。この結果、金利の条件により支払総額に大きな違いがでることを学びました。
(3)「生活における経済の計画と消費」
ライフサイクルゲームを使って、ライフサイクルにおけるイベントや収入・支出の流れ、人生におけるリスクなどについて学びました。消費者としてそれぞれの人生で想定される基本的なリスクやそれに対する備えなど、生活設計の必要性を学びました。
(4)「医療費制度とその活用」
医療機関の活動内容とその利用にあたり医療費が支払われる仕組みを学びました。国民皆保険制度の利点と課題、日本の医療費の現状を知ることで、適切な医療機関の選択と医療サービスの活用について学びました。
(5)「常識を超える 100年後の世界」
明治時代の新聞が予想した100年後の未来について、現在の環境にどの程度当てはまっているか調べました。その後、過去から現在にかけての実際の技術の変化や最先端の技術開発を学びました。 これらを踏まえ、100年後の未来で登場している技術を想像し、それによって生じる生活の変化や課題などについて、グループで話し合いを行い、発表しました。
(6)「豊かさについて考えよう」
「豊かさ」について数種類の資料を読み、自分の考えをワークシートに記入しました。その後、それぞれの考え方について話し合いました。様々な考え方を知ることで、自分の「大切なもの」について深く考えるきっかけとなりました。
(7)「視覚で捕らえる決算書」
これまでの授業で学んだ会計の知識を活かし、会社情報(決算書)から企業の財務分析を行い発表しました。その会社の「収益性」「安全性」「効率性」の観点から分析し、会計の重要性を学びました。
(8)「野菜の値段をつけてみよう」
店舗によって異なる野菜の値段を比較し、なぜ違いがでるのかグループで話し合いました。グループ毎に出た意見を発表し、どのような経緯を経て販売価格が決まるのかを考えました。
(9)「To Shop Wisely on the Net.」
ネットショッピングに関して英語で与えられた情報について、それがネットショッピングの利点か欠点か、仕分けてみました。 その情報をもとに、ネットショッピングを利用したいかどうか、理由をつけてグループ内で意見を発表し、グループ内で選ばれた意見を代表者が発表しました。
(10)「家庭ごみの処理費はいくら?」
家庭ごみの年間処理費用(全国)につき、1人1か月あたりではいくらになるか計算しました。 その費用について、税金を使うべきか、各家庭が負担するべきか、それぞれの利点・欠点を考え、議論を行いました。全国と藤枝市の状況についても学び、ごみ減量への意識を高めました。
(11)「住宅費用について」
住宅の導入コストと維持管理費とのテーマのもと、住宅取得のために必要な照明器具などの電気機器の消費電力を調べました。再生エネルギーの種類、太陽光発電の消費電力、実発電量、設置費用等を調べ、費用対効果について考えました。
2.研究発表
当校は、金融教育研究校の委嘱を受け、「キャリア教育の充実」と「外部との連携を図った金融教育の在り方」をテーマに掲げて金融教育の研究に取組んできました。
「キャリア教育の充実」については、総合的な学習の時間を使用して、実在する企業と関わりながら企画立案を行ったほか、マネープランゲームの実施、職業についての理解を深める学習などに取組み、働く意義を考えるきっかけ作りを行いました。
また、「外部との連携を図った金融教育の在り方」については、日本銀行静岡支店の見学や藤枝税務署の租税教室への参加、金融広報アドバイザーや消費生活センターからの講師派遣など、各種の外部機関との連携を図り、金融教育に関する知識の蓄積に努めました。
「金融教育」とは日常生活に密接に関わるもので、社会人として必要な知識であり、今後も金融教育の継続学習が必要である、と報告しました。
3.講演会
菊地幸夫氏から、「大事なことなのに学校で教えないもの=お金」と題する講演が行われました。
講演では、弁護士としての経験から、詐欺などのお金が絡んだ事件などを説明されました。また、無料法律相談時の経験から、スマートフォンに絡んだ金銭トラブルについて話され、冷静に判断する力も必要であることを説明されました。
最後に、自分がお金をいくらまで使えるのかを知って賢い消費者でいること、また、お金の欲求に負けず自分の心をコントロールできることが大事であると語られました。そして、正義の心、気高い倫理観・家族愛など、お金で買えないものを持っている人は失敗しないと話され、生徒の皆さんにもそのような心を養っていって欲しいと話を締めくくられました。
生徒からは「社会に出たら必ず必要になることばかり教えてもらったので、今後に生かしたいと強く思った」、参加者からは「子供がおちいりやすい失敗をわかりやすく説明していただいたので、これからの人生でだまされない、しっかりした大人になって欲しい」などの感想が聞かれました。
4.プログラム
- 13:10~14:00
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公開授業
(1)「財政の3つの機能」(1年生 現代社会)
(2)「金利(単利・複利)について調べよう」(1年生 数学Ⅰ)
(3)「生活における経済の計画と消費」(2年生 家庭総合)
(4)「医療費制度とその活用」(2年生 保健体育)
(5)「常識を超える 100年後の世界」(2年生 生物基礎)
(6)「豊かさについて考えよう」(2年生 国語総合)
(7)「視覚で捕らえる決算書」(3年生 簿記演習)
(8)「野菜の値段をつけてみよう」(3年生 野菜②)
(9)「To Shop Wisely on the Net.」(3年生 コミュニケーション英語Ⅲ)
(10)「家庭ごみの処理費はいくら?」(3年生 工業化学②)
(11)「住宅費用について」(3年生 実習②) - 14:15~14:25
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開会挨拶
静岡県金融広報委員会事務局長 新立幸男 - 14:25~14:40
- 研究発表「2年間の取り組み」
- 14:40~16:00
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講演「大事なことなのに学校で教えないもの=お金」
講師:菊地幸夫氏 - 16:00~16:05
- 生徒代表挨拶
- 16:05~16:15
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指導講評
静岡県教育委員会高校教育課主席指導主事 吉原隆 - 16:15~16:20
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閉会挨拶
静岡県立藤枝北高等学校校長 髙田雄介