金融教育公開授業
2017年度 金融教育公開授業
福岡県金融広報委員会
春日市立春日東小学校
金融広報中央委員会
福岡/春日市の実施報告
「金融教育公開授業 in 福岡(春日)(春日東小学校)」(9月8日開催)
春日東小学校は、平成20年度にコミュニティ・スクールになり10年目を迎えた学校です。「地域を愛し、心豊かにたくましく生きる子供の育成」を教育目標とし、地域・家庭・学校が連携、協働し、これからを生きる子供を育成しています。
9月8日(金)に金融教育公開授業を開催し、生活科、総合的な学習の時間、算数科、道徳、特別支援教育の公開授業と、田村学氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
当日行われた公開授業のうち、一部を紹介します。
(1)「お店をひらこう」
ひがし学級の児童は、PTA主催のバザー「友遊(ゆうゆう)フェスタ」で「ひがしっこショップ」を開く予定です。そこで、実際にショップで販売する場面を想定した学習を行いました。金種ごとに硬貨を並べ、数えながら金額を確かめて代金を支払ったり、「おつりは、○○円です」と代金の計算やおつりの計算をしました。買う側の練習もしました。これらを通じて、これから本当に買い物をする場面で、お店の人とやりとりしながら、お金を支払ったり、おつりをもらったりするためのスキルを学ぶことができました。
(2)「じぶんにできるしごと」
これまで、「家庭の仕事」について家族に取材して調べ、その中から自分がする仕事を決めて取り組んできました。その体験を踏まえ、家庭の仕事について改めて考えました。自分が取り組んだ仕事の内容やコツ、仕事をしているときに感じたことや考えたことを伝え合い、交流しました。この活動を通じて、家庭の仕事の大変さや大切さに気付き、「これから、自分にできることは自分がしよう」という実践意欲を持つことができました。また、子供たちが取り組んだ仕事に対する感想が書かれた保護者からの手紙も読みました。保護者の想いに気付き、家族のために働くことの大切さを理解することができました。
(3)「きいろいベンチ」
公園のベンチに泥のついた靴で上がり、ベンチを汚してしまった「たかし」と友達の姿から、みんなが使うものを大切にすることについて考えました。公園にいたおばあさんの「こんなに泥だらけのベンチに座って、スカートがよごれてしまったわ」という言葉で、軽率な行動で周囲に迷惑をかけてしまったと悔やむたかしの気持ちを考えました。その後、ペア交流・全体交流を通して、「みんなのものを使うときには、次に使う人のことを考えることが大事」という価値に気がつくことができました。
(4)「割合とグラフ」
生活の中でよく目にする「2割引」や「30円引き」の表記を基に、考えていきました。問題となっている場面において、実際にはどちらが安く、買い得なのか、まず予想してみました。そのうえで、実際に計算して確認しました。割り引く金額で比べる方法と、割り引いた後の代金で比べる方法があること、どちらの方法を使っても比較できることが、ペア交流や全体交流を通して理解できました。また、「〇割引」の場合、もとにする金額によって値引き額が違うことも理解できました。生活の中で「値引き」の言葉に惑わされず、値引かれる額を求めることで、よい買い方ができることがわかりました。
(5)「もっと地域とかかわろうプロジェクト2017」
6年生はPTA主催のバザー「友遊(ゆうゆう)フェスタ」に「地域ともっとかかわるために」とのテーマで参画します。目前に迫ったバザーで売る野菜と、福岡県産ラー麦を使ったラー麦ラーメンの売値を決めました。生産者の顔を知るだけに安くは売れない、でも消費者の立場から考えるとその値段は高すぎる、などと多面的に考えました。ブースの目標売上額は2万円です。意見を出し合い熟考した結果、ノルマ達成のために、ラーメンが出す赤字を野菜の売り上げで補填する、という新しい考え方を出し、売値を決めることができました。ラーメンを担当する子供達は初め、自分たちは赤字を出すということに納得できない様子でしたが、「ラーメンは集客できる」との意見を聞き、全体を考えたときには利益を出せないこともある、と折り合いをつけることができました。
2.講演会
公開授業の後、國學院大學教授の田村学氏から「社会に開かれた教育課程の創造~カリキュラム・マネジメントと金融教育~」と題する講演が行われました。冒頭、当日の公開授業の様子を紹介され、これから変化していく社会を担う児童を育てる上ですばらしい授業内容でした、とお話しされました。特に、自分の考えをもち、意見交換しながら全体で達成すべき目的について話し合う6年生の総合的な学習の時間の姿は、これから目指すべき姿に合致している、春日東小学校が考える「算数科」、「道徳の時間」、「生活科」の学習の積み重ねによってそれが実現している、と三側面からの取り組みを評価されました。さらに、「生活科」、「総合的な学習の時間」を核に、教科の横断・関連化を図った同校のカリキュラム・マネジメントは、平成32年度から実施される新しい学習指導要領の理念についてのモデルケースになるでしょう、とお話しになりました。
参観者からは、「金融教育という視点を通して、カリキュラム・マネジメントの方途を示唆していただいた」、「○○教育というテーマで取り組むことで、多面的に児童を育てることができる」等の感想がありました。
3.プログラム
- 13:40~14:25
- 公開授業
(1)「お店をひらこう」(ひがし1組 算数科)
(2)「にこにこだいさくせん」(ひがし2組 自立活動)
(3)「じぶんにできるしごと」(1年1組、3組 生活科)
(4)「ふえたり、へったり」(1年2組 算数科)
(5)「規則の尊重~よりみち~」(1年4組 道徳)
(6)「ゴムを使ったおもちゃで遊ぼう」(2年1・3組TT 生活科)
(7)「かけ算(1)」(2年2組 算数科)
(8)「規則の尊重~きいろいベンチ~」(2年4組 道徳)
(9)「あまりのあるわり算」(3年1組 算数科)
(10)「規則の尊重~きまりじゃないか~」(3年2組 道徳)
(11)「さぐろう!校区の食べ物屋さん」(3年3・4組TT 総合的な学習の時間)
(12)「友情信頼~大きな絵はがき~」(4年1組 道徳)
(13)「福岡のお宝『ラー麦』発見」(4年2組、3組 総合的な学習の時間)
(14)「計算のきまりを調べよう」(4年4組 算数科)
(15)「割合とグラフ」(5年1組 算数科)
(16)「郷土の自慢発見プロジェクト」(5年2組、4組 総合的な学習の時間)
(17)「公徳心~駅前広場はだれのもの」(5年3組 道徳)
(18)「誠実、明朗~手品師~」(6年1組 道徳)
(19)「比」(6年3組 算数科)
(20)「もっと地域とかかわろうプロジェクト2017」(6年2組、4組、5組 総合的な学習の時間) - 14:30~15:20
- 分科会
(1)スタンダード算数
指導助言 福岡教育大学教職大学院教授 森保之先生
(2)スタンダード道徳
指導助言 福岡教育大学附属福岡小学校副校長 髙野誠一先生
(3)生活科
指導助言 筑紫野市立原田小学校校長 井口司先生
(4)総合的な学習の時間
指導助言 大野城市立大野小学校校長 渡辺清二先生
(5)特別支援教育
指導助言 糸島市立波多江小学校校長 谷口慎二先生 - 15:30~15:40
- 開会挨拶
春日市立春日東小学校校長 馬塲肇子 - 15:40~16:40
- 講演「社会に開かれた教育課程の創造~カリキュラム・マネジメントと金融教育~」
講師:田村学氏 - 16:40~16:50
- 閉会挨拶
春日市教育委員会教育長 山本直俊
福岡県金融広報委員会事務局長 明知聖士