金融教育公開授業
2019年度 金融教育公開授業
北海道金融広報委員会
北海道札幌東高等学校
金融広報中央委員会
北海道の実施報告
「金融教育公開授業 in 北海道(札幌東高等学校)」(10月10日開催)
北海道札幌東高等学校は、明治40年開校の札幌区立女子職業学校を前身とする学校です。校訓に「克己自彊」(こっきじきょう)を掲げており、己の欲望に打ち勝ち、自ら進んで努力することで、広く社会貢献できる豊かな人間力を有する人材の育成を目指した教育を行っています。
北海道金融広報委員会より2018・2019年度の金融教育研究校の委嘱を受け、研究活動の一環として、10月10日(木)に金融教育公開授業を開催し、1年生の家庭科を対象とした公開授業のほか、大竹文雄氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
1年生の家庭科では、生活を主体的に営み、自分らしい充実した人生を送ることができるよう、実践的・体験的な学習活動を取り入れながら、生活に関する知識や技術、考え方を身に付け、実践できることを目標としています。金融教育については、他教科の学習内容と関連付けながら、ライフステージに応じた様々な場面を取り上げ、お金の重要性についての理解を深めるとともに、実践できる態度の育成を図っています。
これまでの授業で、わが国の税の種類、使途、財政の現状など生徒自身の生活と財政の役割について学習してきました。その際、生徒はグループに分かれ、今後の日本をどうしていくべきか、それに向けた歳入と歳出の種類別の増減額とその理由について話し合い、意見を共有してきました。
公開授業では、これまでの話し合いをまとめた「私たちが考える未来の財政案」について各グループの代表者が発表し、クラスで発表内容の良かったところや疑問点などについて質疑応答を行いました。消費税や社会保障費、教育費などについては、グループによって増やすべきという意見と減らすべきという意見に分かれました。このほか、ごみ袋税やインターネット税などの新たな税をつくるべき、収入の多い法人や個人に対して法人税や所得税の負担割合を増やすべき、といった意見も聞かれました。
一連の学習を通じて、生徒は税制度が自身の生活や支出に大きな影響を与えていることを理解したほか、人口動態や生活スタイルの変化を踏まえたわが国の財政の将来像について考え、理解を深めることができました。
2.講演会
大竹文雄氏より、「高校生の経済学~豊かな人生設計のために~」と題する講演が行われました。
大竹氏は、まず、「私たちは毎日朝起きてから夜寝るまでの間に、様々な選択を行なっており、これらはすべて経済的な意思決定だと考えることもできます。これだけ多くの意思決定をしている私たちは、意思決定のプロだと言うことができます」と切り出されました。
しかし、「人間の意思決定には様々なバイアス(歪み)があるため、直感に基づく判断では間違いを犯しやすいです」とお話を続けられ、生徒が興味を持つ話題や日常生活の例を使ったクイズ形式で具体的に説明してくださいました。
また、行動経済学における「サンクコスト(埋没費用)」、「現在バイアス」、「損失回避」、「複利」、「平均への回帰」といった概念についても、テレビのニュースなどでよく見る話題を例にとりながら紹介され、多くの人に共通する意思決定の癖を解説されました。
最後に、「高校生は若いのだから、過去よりも未来の方がずっと長いです。過去のことを考えすぎず、将来に向けてとにかくやってみることが大事です」。「もっとも、私たちは間違えた選択をしやすいので、皆さんは自分の行動にどのような傾向があるかを理解したうえで、正しい選択ができるように日頃からトレーニングしておくことが大切です」とアドバイスしてくださいました。
生徒からは、「経済は日常生活の身近なところに関係していると感じました」、「これまで損得を自分の直感で考えてきましたが、今回教えてもらった考え方をもとに今までよりお得な人生を送れる気がしました」といった声が聞かれました。
3.プログラム
- 11:55~12:50
- 公開授業
「私たちが考える未来の財政案」(1年4組 家庭科) - 13:45~13:55
- 開会挨拶
北海道札幌東高等学校長 河原範毅
北海道金融広報委員会事務局長 吉竹章 - 13:55~15:10
- 講演「高校生の経済学~豊かな人生設計のために~」
講師:大竹文雄氏 - 15:10~15:15
- 閉会
生徒代表 謝辞