金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2006
実施報告
金融教育ケーススタディ
中学校の部
開催場所:609会議室 定員:80名(各50分)
開催時刻:【第1回】 15:40~16:30
シミュレーションを活用した社会科公民的分野における経済教育
三枝 利多 教諭 東京都目黒区立目黒中央中学校
配布資料(PDF 19,849KB)
金融・経済教育について次のように考えています。
社会が大きく変化し、規制緩和なども進んだ結果、誰もが責任を伴う自己の意思決定が求められる場面が急速に広がりつつあります。このような社会に対応し、社会の様々な課題を解決していくためには、生徒自身が自己の意見や考えを持ち、公正な判断が出来る人間としての自分をつくっていくこと(いわば「自分づくり」)が必要です。そして、これを達成することによって、将来、民主的な合意形成が可能で、より公正で民主的かつ平和で安全な社会を築いていくこと(いわば「社会づくり」)が可能となっていくと考えています。従って、こうした「自分づくり」から「社会づくり」というプロセスを身につけることが、金融・経済教育だけでなく、消費者教育、年金教育、エネルギー・環境教育、法教育など様々な分野に共通する課題であろうと考えています。
次に、金融・経済教育を進めていくうえで大切と考えられる視点を整理してみると、中学校社会科において金融教育で身につけるべき内容の中心は、金融や経済の細かい知識ではなく、将来、ローンやクレジット、景気変動、政府による政策決定への世論形成などの金融・経済とのかかわりに接した際に、適切に判断していくための資質を養うことであると考えて学習を進めています。
そこで、次の(1)から(5)までの流れを意識して授業を進めるようにしています。
(1)実感的(実学的)に金融や経済の基本的な考え方を身に付けるために工夫が必要。(2)学習の中で、自らの問題として判断する場面を設定する必要性。(3)授業の中で、活動的な授業(シミュレーションや疑似体験など)の工夫が必要。(4)外部講師との連携の有効性。(5)保護者との対話の有効性。
中学校の公民の時間は85時間となっており、その中で経済を学習する時間は25時間前後となります。この中でシミュレーションを活用した5つの実践をいくつか組み合わせて行っています。
まずは「どんぐりマーケットゲーム」で経済の概念に触れ、次いで家計の収入と支出を「家計のシミュレーションゲーム」で学びます。ここでは模擬商談という手法を取り入れて、企業の方との模擬商談を行いながら家計の経済活動を体験していきます。続いて企業の経済活動を「牛丼屋経営シミュレーション」と「MY COMPANY をつくろう」という2つのシミュレーションにより、市場経済の基本的な考え方や金融の働きなどを学習します。これら企業のシミュレーションを振り返った後に、契約書を作ったり、「財政のシミュレーション」を行います。最後に「どんぐりマーケットゲーム」をもう一度行い、ゲームを振り返ることで自らの生き方を考えます。