金融教育フェスタ
金融教育フェスタ2016
先生のための金融教育セミナー
広島会場
実践発表・ワークショップ1の模様
実践発表・ワークショップ 1
講師:
東京都東村山市立回田小学校 曽我部 多美 校長
東京都目黒区立駒場小学校 塚本 哲 主任教諭
進行・コメント:
国立教育政策研究所 大杉 昭英 初等中等教育研究部長
- 実践発表
- 本校が金融教育に取り組むようになったきっかけは、お金についてどう教えたらよいかわからず困っているという保護者からの相談でした。そして、金融教育の実践を重ねていくうちに、金融教育が、変化の激しい現代社会を生きていく子どもたちに生きる力を身に付けさせる大切な教育であるという思いをますます強くしました。
- 本校では、学年毎に発達段階や児童の実態に合わせてさまざまな金融教育の実践を行っています。1年生は生活科、2年生は道徳、3年生は社会科で実践を行い、4年生は総合的な学習の時間で職業調べと発表を行います。4年生では、「まだお金が存在していなかった時代にはどうやって買い物をしていたのだろう?」という問いかけからスタートして、物々交換をしていた時代を体験するゲームも行います。子どもたちは、なかなか思うように交換ができない不自由さを体験し、お金の便利さを学びます。5年生は「おこづかいゲーム」に取り組んで計画的なお金の使い方について学んだ後、買い物と契約について学習します。
- 6年生になると、子どもたちが楽しみにしている日光移動教室があります。そこでは、おみやげの買い物について学習を深めます。また、その他の実践として、「中学校に入学する費用っていくらかかるの?」ということを子どもたちに問いかけました。子どもたちは、制服が高価で、その費用が家計のやりくりから捻出されていること等に気づき、中学校へ進学できることへの感謝の気持ちが芽生えたようです。これらの実践から、限りあるものを大切に適切に使うこと、必要なものとそうでないものを分けて考えること等を学んでいきます。
- 今日、このあとのワークショップで皆さんに取り組んで頂くのは、6年生の実践です。子どもたちは、『もうけの達人になろう』というハンバーガーショップのシミュレーションゲームで、算数の「文字を使った式」の発展学習として、売上と利益の算出方法を学習しました。そこから総合的な学習の時間に発展させて、『我ら、アイデアマン!』という授業で、商品開発や経営の基礎的なことを学びました。
- ワークショップ
- 回田小学校で6年生を対象に行った『もうけの達人になろう』と、『我ら、アイデアマン!』の実践を体験しました。ハンバーガー開発チームと出店計画チームに分かれ、販売するハンバーガーや出店する店舗についてアイディアや企画を考え、アピールポイント等をまとめて発表しました。ハンバーガーの開発については、地域貢献のために地元の特産品を使ったものや野菜をたくさん使用した低カロリーなもの等、様々な案が出されました。出店計画についても、ビジネスマン向けの立地に出店し、ハンバーガーとお酒を同時に楽しめるようにする、地元の野球スタジアムの近くに出店し、試合のない日の販売方法にも工夫を凝らす等、付加価値の付いた楽しいアイディアが発表されました。
- コメント
- 大杉昭英先生より次のようなコメントがありました。
回田小学校での実践は、二つの点において非常に重要だと思います。一つは、金融教育のきっかけが保護者の方からの声であったということです。地域や保護者と教育との結びつきはとても重要です。もう一つは、社会とのつながりが意識された教材であるということです。ハンバーガーショップのワークショップで興味深かったのは、内容が開発部門と経営部門に分けられていた点と、「美味しくていいもの」と「値段」との関係です。今日のワークショップでは、地元の特産品や観光地を意識したハンバーガーのアイディアが出されました。行動経済学では、人間は合理的な判断をするという前提ではなく、意思決定にその人の感情や思いが入ると考えます。商品が売れる理由には、期間限定品であることや値段の安さだけでなく、地域の特色がよく出ているからという理由もあるのです。消費者と経営者、そして地域という視点で金融教育を考えるということが重要だと、改めて気づかせて頂きました。
実践発表・ワークショップ1の模様
- 主催:
- 金融広報中央委員会・広島県金融広報委員会
- 後援:
- 文部科学省、金融庁、消費者庁、日本銀行、日本PTA全国協議会、広島県、広島市、広島県教育委員会、広島市教育委員会、広島県連合小学校長会、広島県公立中学校長会、広島県公立高等学校長協会