金融教育フェスタ
金融教育フェスタ2016
先生のための金融教育セミナー
広島会場
基調講演の模様
基調講演
講師:
国立教育政策研究所 大杉 昭英 初等中等教育研究部長
- 今、資質・能力を重視した教育が求められています。人工知能の発達やグローバル化が進み、社会が刻々と変化するなか、我々が予測したものと違う枠組みが生まれることもあります。その時に重要になってくるのは、新たな時代に対応する能力です。中央教育審議会の次期学習指導要領改訂に向けた審議のまとめにあるとおり、これからの教育は、育成すべき資質・能力を明確化し、それを身に付けるための学びを導くよう授業を改善していくことが重視されています。子どもたちが、学んだことを自ら社会に結び付けて活かしていく、これからの教育の在り方と金融教育のコンセプトというのは、非常に近いものがあると考えています。
- たとえば、考える力は、考える方法を教えるだけでは育ちません。資質・能力を育てるための学習活動としてアクティブ・ラーニングがありますが、子どもたちにどういう知識を伝え、どんな活動をさせ、そこから何を学ばせるか。金融教育におけるアクティブ・ラーニングを考えるにあたっては、「金融教育プログラム『学校における金融教育の年齢層別目標』」(金融広報中央委員会発行)にある、金融教育の4つの分野と重要な概念を意識して頂けたらと思っています。
- 金融教育で活用される知識の例として、三つ取り上げます。まずは「希少性」、ものやお金には限りがあることを理解することです。そこから「選択」をする必要が生じますが、選択を適切に行うには、次のような概念や視点が大切です。何かを選ぶと何かをあきらめないといけないトレード・オフの関係、あきらめたものの価値を考えるという機会費用の考え方、将来を現実的に考えて選択する長期的視点、個人と企業間などに存在する情報の非対称性の理解です。そして、それらを学んだうえで、三つ目が「公正で持続可能な社会」を作っていく態度です。ぜひこれらの観点から、先生方ご自身の教材開発について考えて頂ければと思います。
- 金融教育は、子どもたちの意思決定能力を育てる教育です。「その決定は自分にとっては良い決定であるが、他の人たちにとっても良い決定だろうか」という意思決定の合理性と公正性のもとに、持続可能な社会が成り立ちうるのです。意思決定には、感情や意志が含まれます。人工知能を持ったロボットが東京大学の入試突破を目指すというニュースがありましたが、たとえ、人工知能が発達しても、相手の感情を読み取って自分の感情も交えながら判断していくという点においては、我々人間が勝っています。こうしたことを踏まえながら、金融教育の具体的な展開を検討していきたいと考えています。
基調講演の模様
公立学校教員、広島県教育委員会指導主事などを経て、
- 平成9年
- 文部省初等中等教育局中学校課/
- 高等学校課教科調査官(社会・公民)、
- 平成13年
- 国立教育政策研究所教育課程研究センター
- 教育課程調査官(兼)文部科学省
- 初等中等教育局教育課程課教科調査官(社会)、
- 平成15年
- 文部科学省初等中等教育局視学官、
- 平成19年
- 岐阜大学教授を歴任し、現職。
- 主催:
- 金融広報中央委員会・広島県金融広報委員会
- 後援:
- 文部科学省、金融庁、消費者庁、日本銀行、日本PTA全国協議会、広島県、広島市、広島県教育委員会、広島市教育委員会、広島県連合小学校長会、広島県公立中学校長会、広島県公立高等学校長協会