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金融教育に関する実践報告コンクール

第10回金融教育に関する小論文・実践報告コンクール(2013年)

応募状況および特賞・優秀賞受賞作品の紹介

第10回金融に関する小論文・実践報告コンクールでは、「小論文部門」と「実践報告部門」の2部門で、金融教育に関する提言、実践事例や実践計画などを募集しました。教員、研究者、教員を目指す学生の方から36編の作品が寄せられ、厳正な審査の結果、特賞1編(小論文部門)、優秀賞4編(小論文部門2編/実践報告部門2編)、奨励賞6編(小論文部門3編/実践報告部門3編)の入賞作品が決まりました。

小論文部門では「これから取り組んでみたい金融教育」「これからの時代に求められる金融教育」「金融教育をさらに普及していくための提言」、実践報告部門では「学校で取り組まれた実践報告」「学校で取り組む予定の実践計画」を募集テーマ例として挙げました。

入賞作品のうち、特賞と小論文部門・実践報告部門の優秀賞各2編の5編を紹介します。

特賞「買い物をするときの判断基準~小学校2年生の授業実践と分析~」(小論文部門)は、小学校2年生に昼食を500円以内で買って給食の時間に食べるという活動を行わせ、買い物の際の児童の判断基準を調査したものです。児童自身が買い物の計画を立てた時点、家の人と相談して買うものを決めた時点、実際に買い物をした時点の3つの時点で、買い物の判断基準(「値段」、「見た目」、「量」、「栄養」、「好み」)がどのように変わったかを調べ、分析しています。

児童自身が計画した時点や家の人と相談した時点では、「栄養」が多く、実際に買い物をした時点では、「好み」が最も多く、続いて「栄養」となったというように、3つの時点を比較すると判断基準に変化がみられました。「値段」は、買い物をする前の段階では判断基準となっていないが、買い物をした後の感想に「お金の計算が大変だった」という表現が半数以上にみられ、実際には多くの児童が商品の値段を気にかけていました。このような結果から、筆者は、小学校2年生では買い物の判断基準は明確ではないとの結論を導いています。「本物の体験を早い時期にさせている」「実践内容が具体的にわかりやすく書かれていて他の教育関係者にとって参考になると思われる」「今まで漠然とそうではないかと考えられていたことをデータとしてまとめている」と高く評価されました。

優秀賞「人口の偏在する現代社会における社会科での金融教育の可能性~自らの生活や人生を築き上げることのできる自立した生徒の育成を目指して~」(小論文部門)は、北海道のように多くの地域で人口が減少する社会に住む中学生にとって、社会一般の出来事が自分事ではなく他人事となっている、との危機意識を持つ筆者が、新たな教材「FELP(Financial Education for Life Planning)」を開発し、これを紹介したものです。筆者は、現在の社会科(公民的分野)の教科用図書に欠けている“自らの生活や生き方をシミュレーションする学習”が、目指す生徒を育成する手段になると考えて開発した、と述べています。

この教材では、生徒がそれぞれ20歳からの30年間の未来予想図を作成します。収入・可処分所得・消費支出などを世代別・家族の人数別にデータ入力し、可処分所得から具体的な貯蓄の方法や保険について考えます。シミュレーションに当たっては、世代別の働き方や子どもの教育、ニーズとウォンツに分けた消費支出などを具体的にイメージし、データを選択します。最後に、未来予想図を作成する過程で感じたことや考えたことをまとめ、どのように変更すべきかを生徒自身が考えます。「現状を分析して課題を解決するためにどのような授業を行うべきかを示している」「小論文として提言している内容を実践するための考え方が示されている」「生徒自身が主体的に生活設計をつくっていく教材である」と強い支持が集まりました。

優秀賞「次世代型消費者教育の権輿(けんよ)~消費者教育推進法が求める新しい消費者教育の実践~」(小論文部門)は、商業高等学校の課題研究において、ソーシャル・ファイナンスに着目した活動を生徒に行わせている様子を紹介したものです。筆者は、これまでの募金のような、生徒と社会のつながりが弱い活動を「高校生の社会貢献1.0」と定義したうえで、ソーシャル・ファイナンスを活用し社会性を重視した社会貢献を「高校生の社会貢献2.0」と呼び、電子型デビットカードが日本でも普及し始めたため、高校生によるマイクロ・ファイナンスの実践が可能となっている、と述べています。

筆者は、電子型デビットカードを利用した「高校生の社会貢献2.0」は消費者教育推進法における消費者教育の在り方に合致するものであり、次世代型消費者教育のモデルケースとなると主張しています。また、「高校生の社会貢献2.0」は、自身の行動が内外の社会に影響を与えたり貢献したりできると生徒が実感でき、そのことが国際理解教育にも繋がるとも述べています。「消費者市民社会の意識を授業に盛り込もうとしている」「生徒に意識させて行動させようとしている」と高い評価が寄せられました。

優秀賞「アベノミクスで学ぶ日本経済」(実践報告部門)は、高等学校の商業科における選択授業「ビジネス基礎」において“アベノミクス”を取り上げた実践報告です。筆者は、アベノミクスのように最新の社会事象を授業で扱うことは金融教育の大きな柱になると考え、学習効果モデルを整理し、指導計画案を策定しました。授業を行う前のリハーサルや板書計画など実践の様子が紹介されています。

筆者は、この実践を通じてアベノミクスは教育効果が大きく幅広い知識理解が可能となるテーマであると気付いた、と述べています。また、生徒がこれほど興味をもった金融に関する授業事例を知らない、最新の経済事例を授業でわかりやすく提供していくことが教員という立場から日本経済に貢献する手段であると改めて感じた、とまとめています。「社会事象の学習では名前を覚えさせることになりやすい中、内容をきちんと生徒に教えようとしているところが良い」「様々な意見がある題材を教員という客観的な立場を意識して授業を行っている」「時事的な内容を授業実践にうまく溶け込ませている」と多くの支持が集まりました。

優秀賞「特別支援学級での金融教育 ~できることから分かることまで、はじめの一歩~」(実践報告部門)は、中学校の特別支援学級においてお金を取り上げた実践を紹介するものです。筆者は非常勤講師として特別支援学級の6名を対象に社会科の授業を担当しています。特別支援学級では、生徒の障害の程度が区々であるため、個々の生徒の状況を考慮して学習を行うこととなっていて、筆者は「できることからはじめ、分かることまで」をモットーに掲げて「お金の学習」を実践しました。

お金の学習は計4時間から成り立っています。お金を使った買い物をするという宿題を夏休みに課し、2学期に買い物ゲームや小遣い帳を使って記帳します。その過程で買い物は予算内に収めなければならないという指導を行い、貯金をすることや計画的にお金を使うことを生徒に学ばせることはできたが、お金の交換機能や価値尺度機能の学習は時間が足りず実施できなかった、と述べています。筆者は、個々人のペースに合わせて金融教育に取り組むことが、将来の給与所得者・納税者である生徒たちの「生きる力」に結びつくとまとめています。「教育の現場における地道な取り組みである」「大変難しい問題に取り組んでおられ、生徒に生きる力を身につけさせる観点から大きな意義がある。敬意を表したい」と広く評価されました。

このほか、本コンクールには、教員を目指す学生が将来取り組んでみたいと考える金融教育を論じた作品が多く寄せられました。また、大学における学生の学びにゲームを取り入れた作品や、高等専門学校における実践報告もありました。

本コンクールの受賞作などを参考にしながら、より多くの学校教育関係者に実践の裾野をさらに広げ、金融教育を定着させていっていただければと思います。

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