金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル in the Galaxy
6F 大人の宇宙おかね教室 知るぽると金融教育セミナー
金融トラブルと消費者としての知識
講師:(社)全国消費生活相談員協会
金融サービス研究会 樋山 昌子 氏
金融商品のトラブルは、大きく分けて2つあります。一つは、銀行や保険会社、証券会社が販売している商品の仕組みが複雑なため、消費者の理解不足からトラブルになる場合。二つ目は、詐欺的色彩の強いインチキ投資に騙されてしまうケースです。
トラブルが増えた理由は、(1)97年に日産生命や山一證券、北海道拓殖銀行が破綻したのをきっかけに金融機関への不信感が増した。(2)低金利が続き、年金生活者の不満がつのって高齢者がインチキ投資に騙される。(3)国策として「貯蓄から投資」への流れの中で、商品を理解しないで金利や配当の高い商品を契約する。(4)金融の規制緩和で、複雑な商品が爆発的に売り出された。(5)銀行で生命保険や損害保険が契約出来たり、証券会社で保険が買えるとか、色々な商品が一カ所で購入出来るように便利になった反面、消費者が混乱している。(6)法律の隙間を研究したインチキ商法の増大、等が挙げられます。
代表的トラブルに、銀行などが販売する「二重通貨預金」があります。円建ての定期預金で、満期時に円安なら円で受け取り、円高なら外貨で受け取れますが、外貨から円に替える時に手数料が発生して元本割れの可能性があります。中途解約も原則的に出来ません。
生命保険では、病歴の告知義務違反が目立ちます。告知は保険会社に行うことが決められており、営業職員に話したのは告知になりません。告知書にありのまま病歴を書くことが大切です。
投資信託も元本割れの可能性があります。例えば、毎月分配型の投資信託は運用がうまく行かなくとも、集めた基金を取り崩して分配するため、解約や満期時に元本割れに気付くことがあります。購入の際には、販売案内の「目論見書」をよく読み、投資目的と合っているかを吟味して契約しましょう。
インチキ投資では、電話勧誘で未公開株の購入をして騙されたという相談が連日寄せられています。企業が株式を公開する時は、証券会社に依頼し、証券会社が新聞などに「募集案内」の広告を出します。事業者は金融商品取引業者として登録しなければならず、登録業者は社名に「○○証券」という証券の文字が入っています。登録業者かどうかの確認をしてください。またロコ・ロンドン金証拠金取引も問題です。「金が上がるから」と誘われて投資すると、証拠金の何十倍もの取引が出来るため、莫大な損失が出ます。裁判所は「この取引は賭博」と判決を下しています。クーリングオフ対象ですので8日以内なら解約出来ます。
金融トラブルに陥らないためには、理解できない金融商品を買わないことが最も大事です。