金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル in the Galaxy
6F 大人の宇宙おかね教室 知るぽると金融教育セミナー
日本銀行入門
講師:日本銀行
情報サービス局 局長 恵谷 英雄 氏
日本銀行の目的は、第1に「銀行券を発行すること」、第2に「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」、そして第3に「決済システムの円滑かつ安定的な運行を確保し、金融システムの安定に資すること」、の3つです。また、日本銀行には、「発券銀行」「銀行の銀行」「政府の銀行」という3つの役割があります。
日本銀行は1882年(明治15年)に開業し、2008年3月末の時点で4,853名の職員がいます。全国に32支店、国内に14カ所、海外に7カ所事務所があります。日本銀行政策委員会の役割は、「日銀の最高意思決定機関で、金融政策の運営に関する事項を決定するとともに、日本銀行の運営方針を決定し、執行状況を監督する」、ということです。政策委員会は、総裁が1名、副総裁2名、審議委員が6名の計9名(現在1名が欠員)で構成され、常勤で任期は5年です。政策委員会の役割は、民間企業における取締役会に当たります。
金融政策の手段は3つです。第1は公開市場操作、第2は、政策金利である基準割引率および基準貸付利率(従来の公定歩合に相当)の操作、第3は預金準備率操作ですが、現在は、このうち公開市場操作が最も重要です。
日本銀行の独立性については、日本銀行法の第3条に「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」、と書いてあります。その一方で政府との関係は、同じく4条で「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」、と述べています。
「発券銀行」の役割についてお話します。お札はどのように回っているのでしょうか。国立印刷局で印刷したお札は日銀が引き取り、いったん日銀の金庫に入ります。これを民間の金融機関がとりに来てATMや支店に配っていきます。皆さんはそこから預金を下ろしお札を引き出します。日銀からいったん出ていったお札が世の中をぐるぐる回り、ある程度時間を経過してまた日銀に戻ってくるわけです。そのお札を日銀で偽札ではないかなどをチェックし、まだ使えるお札は再び金庫に収めて、また世の中に送り出します。
銀行券の年間受払高は、平成19年度中、受入高が約108億枚、支払高が約109億枚です。109億枚ということは、人口が1億2,000万人ですから1人当たり90枚程度のお札が日銀と金融機関の間でやり取りされていることになります。新しいお札には偽造防止技術がいろいろ採用されており、たとえばホログラムは偽造が難しい技術のひとつです。