金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2009
暮らしに役立つ講演会
講師 : ダニエル・カール氏 (翻訳家・タレント、山形弁研究家)
「ダニエルが語るお金の魅力」
大きく違う日米の金銭感覚、高校・家庭でもお金の話を
私が日本に初めて来たのは32年前で、1年間、奈良県五條市の智弁学園高校に留学しました。まんず最初は、その時日本に来てびっくりした話から始めます。
ある日、下宿をしていた家の子どもが学校から帰ってきて唐突に「お母さん、金ちょうだい」と言いました。お母さんの「何でやねえ」の問いかけに、子どもが「文房具屋で買いたいものがある」と答えたところ、「仕方がないわねえ」と言いつつお金を子どもに渡しました。この「頼めば金が出る」という感覚がオラとは全く違うなとびっくりしたのです。
私の親父は80年前の世界恐慌の1年目に生まれ、かなり貧しい生活をしていました。そのため私は、お小遣いはなしで、「お金は汗をかいて、時には血を流しても稼ぐものだ」と言われて育ちました。6歳から犬の世話を始め、その後、一家全員の皿洗い、ヤギやニワトリの世話、家の増築などと、成長とともに私の仕事は増えていきました。その対価としてお金をもらっていましたが、その際、全ての仕事をリストアップし、「仕事を全部きちんとしたら、金曜日にお金(時給制)を渡す。1つでもきちんとしていなければ、1セントも出ない」という契約書を親父と結んでいました。ここから私は厳しい金銭感覚を学び、その後の留学も大学も全てアルバイトで稼いだお金で行きました。
日本では「お金は汚いもの」と考えられているところがあります。家族で食事をしていた時、高校生の息子が「証券会社はどうやって儲けてるんだ」と聞くので、私が説明していますと、妻が「やめんべさー」と言うのです。
私の嫁は本人も家族も皆、学校の先生ということも影響しているのか、食卓でお金の話をするものではないと嫌がります。学校にしても「お金の話をする場所ではない」と言います。しかし、社会に出る前の子どもに日常生活に必要な知識を教えないで、どうするのでしょう。
米国の高校には「Life and Marriage」という授業があり、結婚、財産のことだけでなく、クレジットカードとは何かも教えます。家庭でも学校でも金融のことを教えないで、テレビのコマーシャルだけが“教える”ということになったら怖いですよ。まずは、皆さんも自分のお子さんと契約書を結んでみてはいかがでしょうか。
プロフィール
米国カリフォルニア州出身。高校・大学時代に留学生として来日。卒業後、文部省英語指導主事助手として山形県に赴任し、3年間英語講師として教壇に立つ。山形弁を武器に、バイタリティあふれる行動力とユーモア豊かなサービス精神で、ドラマ、司会、コメンテーター等幅広く活躍。
