金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2009
金融教育セミナー 東京会場
(NPO法人)証券学習協会
講師 : 島田 ふよう氏
「やさしく学ぶ 投資信託の仕組みとリスク」
目論見書で投資対象やコストなどを確認、運用報告書のチェックも
投資信託は大勢の方からお金を集めて、専門家が株式や債券、不動産、あるいはコモディテイ(商品)などに投資し運用する金融商品です。こうした投資対象は価格が変動しますから、元本は保証されていません。投資信託を買うというのは、こうしたものに出資をすることで、分配金も運用次第で異なります。
投資信託の仕組みですが、買う時は取扱金融機関が窓口になります。取扱金融機関は、以前は証券会社だけでしたが、今は銀行、保険会社など、いろいろなところで買うことができます。日経新聞には毎日、投資信託の基準価格が載っていますが、個々の取扱金融機関はデパートと同じで、3,000以上ある投資信託の全てを取り扱っているわけではなく、言わば、仕入れ担当者が選んだものを販売しています。
投資家から集められたお金を実際に株式や債券などに投資し運用するのが投資信託会社、お金を預かるのが信託銀行で、信託銀行は銀行の財産とは別勘定で預かったお金を管理しますから、取扱金融機関や信託銀行などが倒産しても、買った投資信託は時価で払い戻されます。
この時価は基準価額と呼ばれ、投資信託会社が購入している株式や債券などの、その日の市場価格を終値で計算し、そこから信託報酬などの費用を引いた額を、投資信託の購入単位である口数で割って計算します。
通常、投資信託の手数料には買う時(売る時にかかるものもあります)と、保有している期間日割りで引かれる手数料があります。買う時の手数料は「販売手数料」と言い、販売会社が決定するものです。保有している期間、日割りで引かれる手数料は「信託報酬」と言い、販売会社・ファンドを運用する委託会社、運用資金を管理する信託銀行で按分されますが、これはファンド設定時に決定されています。コストがどのくらいかかるか、投資信託を購入する時は必ず確認して下さい。
資産運用を考える場合、事前にきちんと把握しておく必要のある事柄が「リスク」です。リスクは、日本では「危険性」というような意味合いに受け取られがちですが、運用の世界では値段のブレ幅のこと。大きなリターン(収益)の期待できるものはそれと同じ確率で値下がりもするということを認識する必要があります。株式と債券に関して言いますと、一般的に国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の順に価格の変動が大きく、リスクが高いとされています。しかし、国内の株式でも、その投資信託が投資対象とするのが、大企業の株式なのか、最近上場された企業の株式なのかなどによってリスクは違いますし、外国の株式も先進国なのか、新興国なのかによって価格の変動幅は異なります。従って投資対象が、どのような国のどのような企業の株式なのか、債券なのかに注意することが必要です。同時に、目標とする投資成果を決めて運用するのか、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)の変動を意識して運用するのか、為替変動への対策はどのように行われているかなどの点も必ずチェックして下さい。
リスクを低くする基本は分散投資、長期投資、時間分散(買う時も売る時も何度かに分けて実行する)の3つです。投資信託を購入する際には投資対象、運用方針、コストなどが記載された目論見書をじっくり読み、購入後は週次・月次レポート、運用報告書などをチェックするようにして下さい。
(NPO法人)証券学習協会とは
証券学習協会は証券知識を身につけたい人々のために、中立公正な立場で、証券学習講座の開催、講師の派遣、金融・証券知識の普及に関する提言を行っています。1999年に立ち上げ、内閣府の認証を受けています。
