金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2009
金融教育セミナー 東京会場
(社)不動産証券化協会
主席研究員 : 森野 祥一氏
「Jリートの基礎」
高収益性による分配金の多さが魅力、元本割れなどのリスクも
資産運用の方法は昔からいろいろあります。確実なものは銀行預金や国債ですが、もう少し収益を上げようとすると株式、さらに大きなお金を持っている人には不動産投資などがあります。この不動産投資を証券化したのが、Jリート(REIT)です。これは、ジャパン・リアル・エステイト・インベストメント・トラストの頭文字を取ったもので、証券取引所に上場している不動産投資法人が発行する証券で、2000年5月の投資信託法の改正により、2001年から始まりました。
リートの制度は50年ほど前に米国で始まり、世界23カ国に広まっていますが、日本は、投資信託全体の規模が92兆円であるのに対して、不動産投資法人が投資家から集めた資金は4兆円しかありません。不動産投資法人は、この4兆円とほぼ同額の借り入れをして、オフィスビル、ショッピングセンター、マンション、ホテルなど、常に収入が期待できる賃貸物件に投資をしています。
現在、わが国には41の不動産投資法人がありますが、不動産投資法人には法人税がほとんどかからない制度ですので、収益から減価償却費、支払い利息、営業経費を引いた残りのほとんどを分配します。このため分配金が多いのが魅力で、分配金は1口当たりの投資額約50万円に対して、2009年上半期の平均は前年までの1万5,000円前後から低下して1万3,000円ほどです。1万2,000円としても、半年で2.4%、年間なら4.8%になります。スポンサーには不動産会社が多く、ノウハウを持った専門家が投資物件を選んでいることも高収益の一因です。
一方、元本割れをはじめ、金融情勢の変化による支払い利息の増加、物件の売却損、増資による投資口の希薄化などのリスクがあります。Jリートには魅力とリスクの両方がありますので、本日をきっかけに関心を寄せていただければと思います。
(社)不動産証券化協会とは
社団法人不動産証券化協会は、Jリートを初めとする不動産証券化商品の社会的信用確保と投資家保護を活動の目的として設立された公益法人です。
