金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2009
金融教育セミナー 東京会場
(社)全国消費生活相談員協会
金融サービス研究会 : 坂本 敬子氏
「広告表示と消費者トラブル」
小さな文字で書かれたところを最初に読み、時間をかけて理解を
全国消費生活相談員協会は、全国の消費生活センターなどで消費者相談に対応している相談員などで構成する団体で、2009年11月で創立32周年を迎えます。消費者被害の救済だけでなく、さまざまな活動を通して、被害の未然防止にも取り組んでいます。
近年は金融商品の種類が増え、銀行や郵便局でも手軽に買えるようになっています。しかし金融商品には形がなく、目で見たり触ったりできないうえにそのしくみが複雑です。そのため、雑誌や新聞などの広告を見て購入し、「こんなはずではなかった」という相談も多く寄せられています。
リスクのある投資型商品の広告は2007年9月に施行された金融商品取引法の第37条で、表示事項と表示方法が定められていますが、例えば、「円定期預金の広告を見て銀行で購入し、満期時に円高となり、外貨で受け取って円に替えたら、元本割れした」というトラブルがあります。
ここに「わくわく円定期預金」という架空の広告があります。「3年定期、金利は年10%」と大きな活字で書いてあり、小さな文字で「満期時の為替相場によっては外貨で償還。外貨を円に替える時には元本割れの場合も。原則、中途解約はできない。中途解約した場合は元本割れの可能性も…」などと書いてあります。
世の中には、名前に円定期預金とついていても、仕組みの複雑な高リスクの預金があります。また投資信託などで、過去の分配金の実績を強調した広告もありますが、分配金がない時もあり、元本割れすることもあります。
こうした金融商品の広告を見る時には、特に3つの点に注意することが必要です。
1つ目は広告の小さい文字を最初に読んで、理解するように努力する。私たちが知らなければならない手数料やリスクは小さい文字で書かれていて、これは「こんなはずではなかった」ということにならないための情報でもあります。ここが理解できなければ購入を控えることです。2つ目は広告だけを読んで商品を理解したとは思わず、資料などを取り寄せ、ご自身で金融機関に出向いて説明を受けることです。予め資料を読んで、どこがわからないのかを整理してから、出向くようにしましょう。金融商品は複雑ですが、金融機関では時間をかけて丁寧に説明してくれます。
3つ目は金利の感覚を磨くことです。現在の普通預金の金利は年0.04%、一年物定期預金は0.12%ほどです。この低金利の時代に金利5%とか10%という商品には、それ相応のリスクがあると感じ取ることが必要です。これら3つの点に注意を払い、広告を有効に活用すれば、自分の投資目的にあった商品の購入に役立てることができると思います。
(社)全国消費生活相談員協会とは
全国の消費生活センターで相談に対応している消費生活相談員の団体です。消費生活問題の専門家集団として、消費者トラブルの未然防止のために情報提供をしています。
