金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2009
金融教育セミナー 東京会場
(株)東京証券取引所グループ
CSR推進部 東証アカデミー講師 : 五十嵐 正治氏
「証券市場の仕組みと機能について」
グローバル化が進展し発言する株主も増加、個人が投資しやすい政策も
会社は事業活動を行うために、大きく分けて2つの方法で資金を調達しています。1つは我々預金者が銀行に預けたお金をもとに、銀行が判断して企業に貸し付けるという方法で、間接金融と呼ばれます。もう1つは企業が株式などを発行し、これを投資家である我々の判断で買うという方法で、直接金融と呼ばれます。
後者の株式の流通市場を主に担うのが証券取引所で、全国に6つの取引所があります。東証は株式、債券、先物、オプションのほかETF、J-REITと呼ばれる上場投資信託も扱っています。6つの取引所に上場している企業は2009年9月末で3,754社で、全国に株式会社は120万~130万あると言われていますから、上場企業は非常に少ないということになります。このうち東証に上場している企業は2,323社で、うち東証だけに上場しているのは1,545社です。また、東証にはマザーズという新興企業向け市場があり、ここに185社が上場しています。
この東証の2001年~2008年までの株式売買委託者の構成比を法人、個人、外国人に分けて見ると、外国人が40%以上を占め、2008年は実に63.3%でした。外国人と言っても個人ではなく、ファンド、年金、金融機関などのプロの投資家です。株式市場は社会の将来の動きを示す鏡だと言われますが、昨年9月のリーマン・ショック以降の動向を見ても、まさにそれが言えると思います。
こうしたグローバル化とともに、証券市場では規制緩和とインターネットの普及による取引手数料と情報収集コストの低減、インターネット口座の急増、株式持ち合いの解消、“モノ言わぬ株主から、発言し要求する株主へ”といった変化が起こっており、そうした環境変化に対応して、株主との対話を求める株主総会、経常利益に占める配当金の割合の増加、株式分割と売買単位の引き下げなどの動きが強まっています。
株式分割と売買単位の引き下げは個人投資家が参加するのに有効ですが、皆さんが株式を買うかどうかの判断をするうえで、企業の業績が大きな要因になります。東証のホームページから、上場企業のホームページにおける決算短信などの開示情報にもアクセスできます。また、東証は見学(無料)も実施しています。併せて、ご活用いただければと思います。
(株)東京証券取引所グループとは
東京証券取引所は、高い信頼性と利便性を備えた健全な証券市場の構築とともに、公正・中立な市場開設者の立場を生かして、金融経済教育活動を行うなど金融リテラシーの向上にも取り組んでいます。
