金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2009
金融教育セミナー 東京会場
(社)日本証券アナリスト協会
編集企画部長 CMA、CFP : 園田 耕三氏
「証券投資をはじめるにあたって」
家計の現状を把握し、リスクを学んで投資を
本日は、これまで証券投資の経験のない方や経験の浅い方を対象にお話しさせていただきます。皆さん、投資をする時は、まず、「損はしたくない。1円でも儲けの多い金融商品はないか」と考えると思いますが、世の中に、そんなうまい話はありません。しかし個人の投資家は、法人や機関投資家などが半年とか一年といった決算期に縛られて投資をするのに対して、長期的な視点で腰を据えて取り組むことができるのが利点です。
ただ、投資をする前に家計の現状を知り、将来の収支見通しを考えることが欠かせません。これには、「知るぽると」のホームページから無料でダウンロードできる「家計の資産管理簿」や「生活設計診断ミニ」を利用されるのが良いと思います。
資産運用を選択する際のポイントとしては、安全性、流動性、収益性の3つが基本です。ただし、安全性も高く、現金に換えられる流動性も高く、収益性も高いという「3高」を備えた理想的な金融商品はありません。安全性、流動性が高ければ、収益性は低い「ローリスク・ローリターン」になり、収益性が高ければ、安全性や流動性は低い「ハイリスク・ハイリターン」になります。
このリスクというのは、価格変動、信用、為替変動、流動性などに関するもので、こうしたリスクの特性を知り、どうすればリスクを小さくできるかを学ぶことが重要です。そのリスクへの対応の1つが分散投資で、リスクの特性の異なる金融商品を組み合わせることにより、リスクを打ち消し合って、全体のリスクを小さくする手法です。例えば定期預金と長期国債、定期預金と国内株、国内株とニューヨークダウを組み合わせるといったことが考えられます。この時、自分がよくわかっている商品を組み合わせるようにして下さい。金融商品の種類が多くてわからないという人には、多くの投資家から資金を集めて専門家が運用する投資信託もあります。
リスクへの対応の第二は、目先の相場変動にとらわれない長期投資です。1回に多額の投資をするのではなく、同一の株や投資信託などに、定期的に一定額の投資をすることにより、平均購入価格を平準化するドルコスト平均法や、利子、分配金を受け取らずに再投資して、複利効果を期待するなどの方法は、個人投資家が持つ長期投資という利点を生かすことになるでしょう。投資にあたっては、このようにリスクに対応するとともに、預金、株、債券、投資信託のさまざまな種類、仕組みに関する情報を調べ、常にマーケットの変動に注意することが必要です。
(社)日本証券アナリスト協会とは
証券アナリスト(CMA®)の育成と社会的地位の向上を目指し、1962年に設立された公益法人です。個人会員数2万2千名、法人・賛助会員数510社・団体で組織されています。
