金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2009
金融教育セミナー 東京会場
(財)生命保険文化センター
生活情報室 調査役 : 牛嶋 信治氏
「生命保険のしくみと役割」
生命保険と預貯金の違いを理解し、合理的な生活設計を
生命保険文化センターでは、中立公正な立場から生命保険とは何かを消費者の皆様にご理解いただく活動をしています。日本では10世帯のうち、9世帯近くが生命保険を活用し、1世帯当たり年間50万円弱の保険料を払っています。生命保険は一旦入ると、10年、20年と続けますから、保険料も500万円、1,000万円になり、住宅に次ぐ買い物だと言われます。
生命保険は経済的なリスクに備える商品です。預貯金と比較してみると理解しやすいと思います。例えば、ここに健康な45歳の男性が1,000人いて、それぞれ、奥さんも子どももいるとします。万が一、本人が亡くなった場合に備えて、1,000万円必要だとしますと、預貯金ではそれぞれが1,000万円を貯めなくてはなりません。それに対して、生命保険では、1年間に死亡する確率を用います。この場合、1,000人当たり2名ですから、全員から年間2万円を集めれば、1年後に亡くなった2人の遺族に1,000万円ずつ支払うことができます。これが生命保険の基本的なしくみで、保険料の2万円は自分が死亡した場合に備える費用、言い換えれば安心・保障を買った費用ということになります。
ただし、「不治の病で1年以内の命」と医者から宣告された人が2人いて、その人たちが1,000人の中に入り込んでしまうと、1年間に4人亡くなるかもしれません。そうなると加入者からみて不公平であり、保険会社にとっても保険金の支払いに不足します。一般に契約をする場合に告知義務があるのは契約者の公平性を保つために必要な制度であることはご理解いただけると思います。
生命保険は、このように死亡に備える保険もあれば、年金のように生きることを条件とした保険や、病気や事故による入院や手術、あるいは要介護状態に備える保険もあり、目的によって種類もさまざまですが、考え方としてはそれぞれの確率を使用して商品が設計されています。従って預貯金と異なり、生命保険は目的によって種類が異なるのが特徴です。
消費者の皆さんが保障の目的、金額、期間などの保障ニーズを明確にすればそれに適した種類を選択するのはそれほど困難ではありません。保障ニーズの検討に当っては、自分の生活設計、特にライフステージの変化、公的保障や企業保障の内容、預貯金の状況などを考慮しながら行うことが大切です。預貯金と生命保険、それぞれのしくみを理解して、目的に応じて使い分けることが合理的な生活設計に繋がると思います。
(財)生命保険文化センターとは
生命保険文化センターは、人々の生命保険に対する意識や意向を的確に把握し、それに応じた情報を公正な立場から提供することを目的に設立された財団法人です。
