2023年度 金融教育公開授業 金融・金銭教育協議会

「金融教育公開授業 in 福岡（筑後市）（羽犬塚中学校）」（10月30日開催）

筑後市立羽犬塚中学校は、「高い志を持ち、社会を逞しく生きぬく生徒の育成」を学校教育目標とし、本年度は「自分の考えを持ち、仲間と課題解決に向かう生徒の育成」を重点目標に掲げ、生徒一人一人の課題解決能力を育むための授業実践を積み重ねています。

10月30日（月）に金融・金銭教育研究発表会を開催し、学級活動（１年生）、道徳科（２年生）、数学科（３年生）、家庭科（３年生）、社会科（３年生）の公開授業後に本校での研究概要を報告した後、いちのせかつみ氏による講演会を行いました。

▼ 参加者内訳：

1．公開授業

(1)「将来の自分について考えよう」

第１学年では、「将来自分が就きたい職業と自分のよさを関係付けて考え、自らの夢の実現に向けて努力しようとする実践意欲を高めることができるようにする」ことを金融教育の目標として学級活動(３)一人一人のキャリア形成と自己実現の授業公開を行いました。

授業では、生徒が保護者や地域の方６名のゲストティーチャーへインタビューすることを通して、自分のよいところが将来どのように役立つか考え、今後の日常生活の行動目標を考える活動を行うことで、夢の実現に向けて努力しようとする実践意欲を高めることができました。

(2)「将来の進路について考えよう」

第２学年５組では、「働く意義の３要素を理解し、自分の働くことについての考え方を見つめ直すことで、職業選択への意識を高めることができるようにする」ことを金融教育の目標として道徳科の授業公開を行いました。

授業では、資料「クリームパン」（出典：文部省「中学校　真理や学ぶことを愛する心を育てる」）に登場する新一が自分の夢を追いかけることと、親が家業を継いでほしいと期待していることへの思いや、パン屋への修行を積む中で変化していく気持ちを通して、自分の職業を選ぶときの３要素のバランスについて比較検討する活動を行うことで、働く意義の３要素についての理解を深めさせることができました。

(3)「関数y＝ax²」

第３学年１組では、「宅配便の荷物の大きさと料金の関係もとに、目的に応じたサービスの適切な選択ができるようにする」ことを金融教育の目標として数学科の授業公開を行いました。

授業では、送料の異なる２つの宅配会社の料金表を提示し、様々な大きさの荷物を送るときにどちらの会社を利用したほうがお得かについて、荷物の大きさと料金の関係を表、式、グラフを使いながら説明し合う活動を行うことで、生徒に階段関数の特徴をとらえさせるとともに、関数を使うことのよさに気付かせることができました。

(4)「私たちの消費生活」

第３学年３組では、「購入方法や支払い方法の特徴が分かり、多様な支払い方法に応じた計画的な金銭管理の必要性について理解することができる」ことを金融教育の目標として家庭科の授業公開を行いました。

授業では、クレジットカードによる三者間契約と二者間契約とを比較しながら利点と問題点についてまとめる活動を行うことで、三者間契約の理解を深めさせるとともに、金銭管理の必要性に気付かせることができました。

(5)「くらしを支える地方自治」

第３学年４組では、「筑後市の課題やその解決のための方策について考える活動を通して、自分の暮らしと社会で起こっている問題とを関係付けて考えることができるようにする」ことを金融教育の目標として社会科の授業公開を行いました。

授業では、筑後市の現状や課題をもとに筑後市をさらによりよくしていくための施策を「まちづくりプラン」として班ごとにまとめ、プランを発表、交流する活動を行うことで、生徒に筑後市に住む住民の１人として主体的にまちづくりに関わることの意義や意味を理解させることができました。

2．研究発表

金融教育研究校の委嘱を受け、研究主題を「社会の中で生きる力を育む金融・金銭教育の推進～日常的な授業改善の取組と体験・調べ学習活動の充実を通して～」として、金融教育の研究に取り組んできました。

具体的には、各教科等の年間指導計画に「金融教育に関わる内容」の項目を位置付けるとともに、「社会科」、「保健体育科」、「技術・家庭科（家庭分野）」、「数学科」、「道徳科」、「学級活動」、「総合的な学習の時間」について、年間を通してどの単元で金融・金銭教育の実践を行うかをまとめた単元配列表を作成し、「金融や経済等の内容」と「体験・調べ学習活動」の関連を明らかにしました。

こうした取り組みを通じて、「自立する力」と「社会とかかわる力」、さらには「自分の力でよりよい選択ができるよう思考して判断できる力」を育成することができたのではないかと考えました。また、生徒に自分にもよさがあること、夢や目標をもつことの大切さを実感させるとともに、コロナ禍で縮小していた教職員と保護者で生徒に関わっていく支援体制を再構築することができたことを研究の成果として報告しました。

3．プログラム

13：35～14：25

公開授業
(1)「将来の自分について考えよう～働く人に学ぶ～」（１年生　学級活動）
(2)「将来の進路について考えよう」（２年生　道徳科）
(3)「関数y＝ax²」（３年生　数学科）
(4)「私たちの消費生活」（３年生　家庭科）
(5)「くらしを支える地方自治」（３年生　社会科）

14：45～15：30

開会行事
会場校挨拶
　筑後市立羽犬塚中学校　校長　弓削暢彦
主催者挨拶
　福岡県金融広報委員会　事務局長　原田幸一郎
研究の概要
　筑後市立羽犬塚中学校　研究主任　河村彰大
研究のまとめ
　福岡県教育庁南筑後教育事務所　指導主事　待鳥哲男

15：35～16：35

講演「子どもはお金が好きやねん！今、金融教育が必要なワケ」
講師：いちのせかつみ　氏

16：40～16：50

閉会行事
　筑後市教育委員会挨拶　筑後市教育委員会　教育長　中村英司