あなたの資産を守る金融商品の保護
VIII.セーフティネットと自己責任
いかがでしたでしょうか。最後に、ちょっと目を変えて、セーフティネットの社会的意義と自己責任原則について、簡単に触れておきたいと思います。
セーフティネットの社会的意義
預金をする、有価証券を売買する、保険に加入するといった、金融の仕組みは、資金を運用したい人や企業と、資金を調達したい人や企業を結びつける、経済活動にとって欠かせない存在です。
金融機関経営の健全性や金融商品の安全性を個々でチェックするといっても、限界があることは明らかです。そんな中で、預けたお金や有価証券がまったく返ってこない(あるいは、返ってくるにしても長い間待たなければならない)、万が一の備えがすべて失われてしまうのでは、それぞれの仕組みに対する信頼を損ない、利用者がいなくなり、結果として経済活動(まわりまわって、その中にいる私たち)にも大きなダメージを与えかねません。たとえば、預金をする人がいなくなったら、借り入れもできなくなります。株式を買う人がいなくなったら、株式会社は成立しません。保険も積立金が貸し出しや有価証券などで運用されていますから、同様です。
セーフティネットは、私たち一人ひとりに一定の自己責任を求めつつも、金融の仕組みへの信頼を損なわないように保護することで、経済の仕組みそのもの(そして、その中にいる私たち)をも守っているのです。
選択の自由と自己責任
かつては、様々な規制によって金融機関同士が競争することは制限されていました。競争制限的な規制の存在は、結果的に、金融機関の顧客を保護することになり、顧客である私たちが直接自己責任を問われることは、あまりありませんでした。また、自分自身で金融機関経営の健全性や金融商品の安全性を厳しくチェックする必要もなかったといえます。規制がプラスの効果を発揮していた時代です。
しかし、国内における金融機関同士の競争制限は、経営内容やサービスを向上させようという動機を失わせるとともに、国際化が進む中にあっては、海外の金融機関と競争する力の低下につながるなど、次第に規制のもたらすマイナスの面が強く出るようになってきました。
こうした流れの中で金融自由化(規制緩和)が進められ、私たちは、サービスの向上、商品の多様化といった自由化のプラス面を享受できるようになったのと同時に、金融機関の破綻という今まで経験のない事態に直面することになりました。セーフティネットが社会的意義を持っていることはお話ししましたが、一方で、自分自身で金融機関経営の健全性や金融商品の安全性をチェックする必要が出てきたのです。
購入する商品や購入先を自分で選択できる自由を持つ代わりに、その結果としてもたらされる利益と損失の両方に責任を持つこと。「自己責任」とは、そういうことなのことです。
制度の仕組みについての照会先
- 金融庁 https://www.fsa.go.jp/
- 財務局・財務事務所一覧・出張所 所在地(財務省へリンク)
- 預金保険機構 https://www.dic.go.jp/
- 日本投資者保護基金 03(3667)9670
- 生命保険契約者保護機構 https://www.seihohogo.jp/
- 損害保険契約者保護機構 http://www.sonpohogo.or.jp/
- 農水産業協同組合貯金保険機構 http://www.sic.or.jp/