金融指標の見方
3.為替相場
(1)円ドル相場
各通貨の交換比率を示すものが為替相場です。大別すると、その交換レートを固定してある固定相場制と、その時々の市場での売り買いの需給バランスによって自由に動くように運営されている変動相場制の二つに分けることができます。現在多くの先進諸国では、このうち変動相場制を採用しています。
やはり我が国の円の通貨価値の高低を見るためには、まず米ドルとの比較でそれを行うのが一般的です。これは、世界貿易における決済通貨としては米ドルが最も多く用いられていることや、日本の貿易相手国の中では米国が中心的な位置を占めているからです。
円のドルに対する相場は一般的に1ドル=120円というように、1ドルに交換するにはいくらの円が必要か、といった尺度で示されるのが一般的です。この場合、最も指標的な役割を担っているのが、金融機関が互いに円とドルの交換(売買)を行うに際して成立する相場です。これを銀行間相場と言います。この中でも翌々営業日に実際に決済・受け渡しを行うことを前提に付いている相場を直物(じきもの)相場と呼びます(先物相場に対する用語です)。つまり銀行間直物相場が、もっとも指標的な為替相場なのです。
新聞の見出しは当然のこととして、昨今ではテレビ、ラジオでも為替相場に言及することが多いのですが、特段の断りがない限り為替相場は以上の銀行間直物相場を示します。
この銀行間直物相場が卸相場とするなら、これに一定のスプレッドを上乗せしたものが対顧客売り相場になり、差し引いたものが顧客からドルを買い取るときの基準となるべき対顧客買い相場として設定されるのが普通です。例えば銀行間直物相場が1ドル=120円であれば、銀行などが顧客にドルを売るときには1ドル=121円、逆に買い取るときには1ドル=119円というように設定するのが一般的です。
この円ドル相場の変動は、米ドル外貨預金や米国のドル建て債券を直接買い付けている人だけではなく、我が国で運用されている投資信託であってもその内に米国の債券や株式を組み入れている場合には、その投資信託の基準価額に影響を与えます。もちろん、米ドル高・円安の場合には円基準での評価額が上がり、逆の場合には評価額なり基準価額が下がるということになります。