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2015年度 先生のための金融教育セミナー

【高等学校・大学向け】

4.分科会(金融教育の事例紹介とワークショップ)/高等学校分科会1

進行・コメント:
国立教育政策研究所 大杉 昭英 初等中等教育研究部長

実践発表およびワークショップ(1)

「リスクとリターンについて考えよう」
東京都立国際高等学校 宮崎 三喜男 主任教諭

実践発表

私の専門は公民科の政治・経済で、今年で教員13年、現在3校目の経験になります。3校それぞれ生徒の勉強への意欲や関心という点は同じではないので、共通していることは、特に経済の学習では教科書どおりの授業をしても、なかなか生徒は関心をもってくれないことです。そうした中で、いわゆる主体的な学びを取り入れることで、楽しみながら学習できるのではと思いました。

経済の授業では、最初に1か月間かけて、「経済とは何か」についてワークショップ形式で授業を行っています。その後、市場メカニズム、市場の失敗、企業、金融、財政などについて半年間の授業をします。特に財政の学習では、生徒に内容を伝えるのが難しいので、高校生の身近な話に置き換えて考えさせるのがテクニックだと思います。金融については、「100万円あったら何に使う」という授業をしています。消費だけでなく貯金をするという生徒が多いので、消費、貯蓄だけではなく投資もあるという話をします。金融商品は利益が出たり損失が出たりするという特徴を踏まえて、リスクとリターンの関係について理解させること、また、投資教育では「楽して金を儲けよう」ではなく、きちんと働いて所得を得て、その一つの使い方としてリスクとリターンを意識しながら株などに投資するとか、銀行に預金するなどの選択肢があることを教えるべきだと思います。加えて、「ノーリスク・ハイリターンはない」ということを最初に教えるべきだと考えます。また、「リスクが高くても必ずリターンが高いとは限らない。リターンを得ることもあるけども、マイナスになることもある」ということを、丁寧に教えることが大切です。

ここで3つの実践事例を紹介します。「実践報告1」は、「人間というのはリスクへの対応が下手だ」ということを理解するための導入ネタです。宝くじで得た賞金2万円について賞金引換所で計算違いから1万円の返金を求められたが、申し訳ないので、「コイン投げをして表が出たらそのまま2万円がもらえるが、裏が出たら2万円は全額返金する」または「コイン投げをしないで1万円を返金する」のどちらかを選んでよいというものです。ここでは、確実に1万円を取るか、50%の確率で2万円を賭けたギャンブルをするかの選択ですが、最初に手にした2万円を失いたくないので、どうしてもリスクを取る行動に出てしまうというものです。

「実践報告2」は薬のリスクの話です。金融のリスクに関しては個人の責任ですが、薬に関しては個人では何ともできないリスクであることを考えさせる教材です。19万の人が使用して3人の死亡例が出た医薬品をどう考えるかという授業です。

「実践報告3」は「リスクとリターンについて経験してみよう」という授業で、本日のワークショップとして行います。

ワークショップ

20歳から定年まで8回にわたって預金をするか、投資をするかの選択をしてもらうゲームをしていただきました。人生ゲームの要領です。投資額の元本がどうなるかはサイコロを振って決めます。経済の出来事を書きとめた「出来事カード」によってサイコロの条件を決めておきました。ゲームの後、最終的な資産の合計がどうなるかをグループごとに報告していただきました。この結果をグループ同士でシェアしていただき、感想や意見を伺いました。

コメント

大杉 昭英先生より、次のようなコメントがありました。

薬のリスクとリターンの話などは非常に興味深く伺いました。ワークショップの実践例については、貯蓄のリスクは非常に少なく、投資についてはリスクが付いて回りますが、将来設計を考えたとき、豊かな生活を送るためにどれだけのリスクを背負って、どれだけのことを行うかということを考えさせるものです。保険におけるリスクとリターン、セーフティーネットなど社会制度の問題にも発展しそうな面白い教材だと思いました。また、生活者、生活設計者として判断したり、経営者として判断したり、いろんなパターンで使うことができる可能性を持った良い授業だと思いました。

高等学校分科会1の模様(1)

実践発表およびワークショップ(2)

「「企業」学習から「金融」学習へ!
~企業の『CSR報告書』を活用した『パーソナルファイナンス』へのアプローチ、公民科、総合的な学習の時間、そしてサークル活動等での実践を通じて~」
昭和音楽大学 梶ヶ谷 穣 非常勤講師(元 神奈川県立海老名高等学校 教諭)

実践発表

新規採用から約40年にわたり高等学校の教員として、3つの学校を経験しました。最後となった海老名高等学校では、公民科の政治・経済、現代社会を担当しました。今回は、企業のCSR報告書を活用した企業学習から金融学習に結び付ける学習活動について紹介します。

中学校と高等学校の教科書を分析したところ、高等学校の政経あるいは現社では、基本的には経済主体の一つである企業について、成立の経緯や歴史、企業の原理にはじまり、会社の種類、株式会社の役割、仕組み、証券市場あるいは株式市場などを取り上げており、企業の財務関係では財務諸表等についても書かれている教科書もあります。また、企業の社会的責任いわゆるCSRについても多くの教科書で詳細に記述されています。企業のCSRの内容は、いわゆる企業が利潤追求活動の他にどういう活動をすることが望まれるかということですが、用語としては、ほぼどの教科書にも、コンプライアンス、ステークホルダー、コーポレート・ガバナンス、ディスクロージャー、メセナなどの言葉が出てきます。さらに、金融と絡めてSRI、つまり社会的責任投資という用語も何社か出てきます。今日は先生方に企業がCSRを実際にどのように考え、どのように消費者等に知らせているかについて、CSR報告書を使って簡単な作業をしていただこうと思います。

その前に海老名高校におけるサークル活動について紹介します。正式名称は「海老名高校消費・経済研究会」ですが、校内では「海老高ファイナンスクラブ」と称しています。最初は十数人が集まって興味・関心のあるテーマの調査や研究をしていましたが、だんだんと会員の数が増えて、去年、私が高校を辞めるときの会員数は約360人になりました。基本的にはパーソナル・ファイナンスとかパブリック・ファイナンスを扱いますが、いろいろな視点から、消費者教育、道徳教育、法教育、政治参加教育、キャリア教育、環境教育、金銭教育などの課題を設定して様々な活動を行いました。

具体的には、消費、経済、法、道徳、マナーなどに関するアンケートの作成と集計をしたり、エコプロ(環境学習活動)に参加し、エコ弁当を作成する。外部主催のセミナー、大会への参加や発表、日銀、東証、厚生労働省、東京駅のホームでの新幹線の清掃業務の見学、横浜地裁での刑事裁判の傍聴を行うなど、ファイナンスと言ってもいろいろなことを行ってきました。また、1年生全員に総合的な学習の時間でCSR報告書を読ませ、その内容についてレポートを書かせます。これをエコプロの当日、会場の海老高ブースで発表しています。基本的には現代社会という科目で企業学習をしますが、それに関連してファイナンスクラブでもいろいろな取り組みをする。つまり、教科指導と教科外指導、あるいは総合的な学習がリンクするように活動をしてきました。

ワークショップ

まず、配布させていただいた、実際に企業が作成しているCSR報告書3社分をご覧いただき、そのうち特に関心のあるものを一社選んで、報告書の記載内容等に関するワークシートに回答を記入していただきました。CSR報告書の記載内容が理解しやすいものか、企業の社会的責任(CSR)に関するメッセージが伝わるか、将来この企業に投資しようと思うか、などについて問うものです。次に、各グループで回答内容について意見交換を行うとともに、上記回答結果を利用してどのような応用的学習や活動が考えられるかということをグループで話し合っていただきました。さらに、CSR報告書を活用した企業学習の成果を金融学習においてどのように活用できるかについても話し合っていただき、その結果を付箋に書いてホワイトボードに貼付し、参加者全員で、企業学習を金融学習へどのように活かせるかを確認しました。

コメント

大杉 昭英先生より、次のようなコメントがありました。

ファイナンスクラブは実際の企業が作成するCSR報告書を点検するという側面もあり、ある意味、監査会社のような活動をされていて、非常に面白いと思いました。CSR報告書を教材化するというのは非常にリアルな教材です。これは本物ですから、これをどう評価するかということで、生徒たちが見て、分析して、高校生としてここが分からない、こういうことでは分からないということを企業にそのままお返しするということは非常に大事なことであり、立派なことだと思います。そして、自分たちが感じたことを伝えると企業もちゃんと反応してくれる、答えてくれるという経験をするのが非常に有意義だと思いました。

最後に、「CSR報告書を金融学習にどのように使えますか」という問いが出ましたが、「学校における金融教育の年齢層別目標」では企業に関する学習の目標が掲げられていますので、これを利用されると良いと思います。

高等学校分科会1の模様(2)

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