新成人のための 人生とお金の知恵
③「お金を増やしたい」とき
①「仕事からの収入を増やす」のが一番です。
②「天引き貯金」は、お金が貯まりやすい方法です。
収入が増えたら、「天引き額」も増やしましょう。
(例)手取り収入が25万円 ➡ 天引き額5万円
手取り収入が20万円 ➡ 天引き額3万円
③お金の運用は、余裕資金を作ったうえで!
生活費の最低3か月分(失業への備え)、できれば1年分以上を貯め、心の余裕を確保しましょう。
そのうえで、お金の価値を「守る」こと(インフレが進むと預金の価値は通常低下します)、将来の夢の実現や老後に備えてお金を「増やす」ことも考えていきましょう。
④「安全で、収益性の高い金融商品」は、ありません!!
「安全性」と「収益性」が、ともに高い金融商品は存在しません。
「安全で、収益性の高い金融商品」は、投資詐欺でよく使われる誘い文句です。
⑤ 「長期・分散・積立」投資を 低コストで行う、という運用方法を知りましょう。
- 「長期」
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長期間、運用するほど、「複利の力」が大きく働きます。
短期間で大きく増やそうとして(例:半年で5割、1年で2倍)、投機的な取引をすると、大きなリスクをとることになり、せっかく貯めたお金が大きく減ってしまう可能性も高まります。
とくに老後資金は、長期的な視野に立ち、時間をかけて増やしていく、という姿勢が大切です。「72の法則」を使って、お金の長期的な増え方を計算してみましょう。
年平均3%で増やせれば、24年で約2倍、48年で約4倍です。
もし年平均6%で増やせれば、12年で約2倍、24年で約4倍、36年で約8倍、48年で約16倍です1。
- 「分散」
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分散は、有効な方法です。たとえば、預金(安全性が高く、収益性は低い)と株式(安全性が低く、収益性は高い)にお金を分散し、その割合を調整すれば、「安全性」と「収益性」のバランスをとり、自分の希望に合ったものにできます。
海外の債券や株式に分散するのも有効です(公的年金の積立金の運用でも、そうしています)。
株式で運用する部分についても、保有銘柄を増やしていく(1→5→10銘柄など)ことにより、リスクが低減します(価格の動きが打ち消し合うためです)。なお、老後資金形成のために「長期(30~50年)・分散」運用する場合には、個別企業の株式よりも、株価全体(株価指数)に連動するインデックスファンド2を利用して国際分散投資するのが一般的です。
- 「積立」(定額投資)
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積立投資とは、給与から毎月一定額を投資していく方法などのことです。
給与からの天引きで積み立てると効果的です。
定期的に定額を投資すれば、株価が高いときには少なめ、安いときには多めの数量を買うことになり、平均購入価格が下がりやすくなります。
積立投資をコツコツと長期間続ければ、短期的な相場変動の影響を軽減するかたちで資産形成を行えます。長期的に価格が上昇していく優良な資産を選ぶことが大切です。
⑥ 資産形成を支援する国の税優遇制度を知りましょう。
つみたてNISA(ニーサ)3 | iDeCo(イデコ) | |
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税の優遇 | 運用益が非課税になる | 運用益が非課税になる 毎年の所得税や住民税が少なくなる 受取時に支払う税金が少なくなる |
対象層 | 18歳以上(2023年1月以降)4 | 20歳以上、65歳になるまで |
年間上限額 | 40万円(累計上限額800万円) | 14.4~81.6万円(働き方による) |
主な商品 | 株式投資信託 ETF (コストが安いインデックス型が中心) |
投資信託 保険商品 定期預金など |
買い方 | 定期的・継続的に買う(積み立て) | 年1回以上(毎月、年1回、年2回など)、買う |
受け取り | 自由に引き出せる | 60歳以降に、受け取り開始する |
つみたてNISA、iDeCoともに、「長期・分散・積立」投資に向くしくみです。低コストでの投資も可能です(税の優遇、各種手数料が安い等)。
iDeCoは、老後資金の形成に向きます。60歳までは引き出せません。
つみたてNISAは、自由に引き出せます。老後資金のほか、子の教育資金などにも向きます。
脚注
- 1
- 金融広報中央委員会『これであなたも ひとり立ち』指導書の「ワーク12 人生にかかるお金、資産形成の視点」には、参考資料として長期的な株価の動き(日本70年、米国200年)も掲載しています。
- 2
- インデックスファンドには、日本の株価(日経平均、東証株価指数)、米国の株価(S&P500ほか)、世界の株価に連動するものなどがあります。国際分散投資には、これらを利用するのが一般的です(つみたてNISAやiDeCoでも利用できます)。
- 3
- 一般NISAもあり、個別株式等にも投資できます(年間上限額120万円、累計上限額600万円)。つみたてNISAと同時使用できません。つみたてNISAに近づける方向での制度変更が議論されています(2022年9月時点)。
- 4
- 口座開設をする年の「1月1日」時点で、18歳以上である必要があります。