あなたの資産を守る金融商品の保護
Ⅲ.自己責任の時代がやってきた
セーフティネットについては、これまで特例として保護の限度額を設けず、全額が保護されていました。しかし、現在では、これからみていくように、必ずしも全額が保護されない場合があります。どうしてでしょうか。
保護に必要な資金は、セーフティネットに参加する金融機関が納めています。ただし、その分、金融機関の収益は減るので、利息や手数料などを通じて、間接的に顧客が負担しているとみることもできます。つまり、金融機関の顧客はみんなでお金を出し合い、ある金融機関が破綻したとき、(自分がその顧客であるか否かにかかわらず、)破綻の憂き目にあった顧客を助けているということになります。それは“いつか自分も金融機関の破綻にあう可能性がある”という意味で、必要経費といえるかもしれません。
しかし、全額を保護するには、非常に多くの資金が必要です。金融機関・顧客が、より多くのお金を負担しているほか、国民の負担である公的資金が使われてきました。金融機関とは縁のない人(顧客以外の人)も、金融機関の顧客を助けているということになります。
一方で、全額保護をあてにして、顧客を集めるために実現不可能な高利回りや低料金のサービスを提示する金融機関や、その金融機関が無理していることを知りつつ資金を運用する顧客が現れる(これらの状況を「モラルハザード」といいます)という指摘もあります。労力をかけて健全な金融機関を選んだ顧客や金融機関と縁のない国民が、悪質な金融機関や顧客まで助ける必要はないはずです。
セーフティネットによる保護に限度額が設けられるということは、自分の選んだ金融機関の破綻に対して、自分が預けていた金額と保護の限度額の差額という直接的な負担が求められるということです。自分の選択の結果に責任を持つ、すなわち「自己責任」の時代がやってきたのです。