あなたの資産を守る金融商品の保護
Ⅴ.預金者の保護
3.預金保険制度
(1) 預金保険
預金保険の対象預金等と保護の範囲
預金保険の対象預金等には、自動的に預金保険が掛けられています。
利息がつかないなどの条件を満たす預金(*)については全額保護され、その他の預金等は対象預金等を合算して元本合計1,000万円までとその利息等が保護の範囲となっています。
*当座預金や無利息の普通預金のように、「無利息、要求払い(預金者がいつでも払戻しを請求できること)、決済サービスを提供できること(引き落とし等ができる口座であること)」という3要件を満たす預金をいいます。こうした預金を「決済用預金」といいますが、どの預金が決済用預金にあたるかについては、各金融機関にお尋ね下さい。
預金等の分類 | 保護の範囲 | ||
---|---|---|---|
預金保険の対象預金等 | 決済用預金(※1) | 当座預金・利息の付かない普通預金等 | 全額保護 |
一般預金等 | 利息つきの普通預金・定期預金・定期積金・元本補てんのある金銭信託(ビッグなど)等 | 合算して元本1,000万円までとその利息等(※2)を保護
1,000万円を超える部分は、破たん金融機関の財産の状況に応じて支払われます(一部カットされることがあります) |
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預金保険の対象外預金等 | 外資預金、元本補てんのない金銭信託(ヒットなど)、金融債(保護預かり専用商品以外のもの)等 | 保護対象外
破たん金融機関の財産の状況に応じて支払われます(一部カットされることがあります) |
(※1)「無利息、要求払い、決済サービスを提供できること」という3要件を満たす預金です。
(※2)定期積金の給付補てん金、金銭信託における収益の分配のうち一部の条件を満たすもの等も利息と同様保護されます。
*全額保護される預金は除きます。
対象預金等の合計(名寄せ)
救済金融機関への引き継ぎ額あるいは預金保険金の支払い額は、当座預金、利息のつかない普通預金などは全額、それ以外の定額預金などについては、「1金融機関につき、1預金者あたり対象預金等の元本合計1,000万円までとその利息等」となっています。破綻金融機関に同一の預金者が複数の預金等の口座を有している場合、それらを合算して、預金保険で保護される預金等の総額を算定します。これを「名寄せ」といいます。
“1金融機関につき”というのは、異なる金融機関に預金している場合は、万が一、双方の金融機関が破綻しても、それぞれ別に計算するということです。
“1預金者あたり”というのは、預金名義1つあたり、ということです。つまり、会社や団体も“1預金者”と数えられます。また、夫婦や親子といっても、名義が異なれば別の預金者として扱われます。同じ家族だからといって、家族の預金を合算して、保護は1,000万円までとその利息等、ということにはなりません。
ほかにも、1人のひとが、2つ以上の立場から預金をしている場合があります。たとえば、自分自身の預金の他に、株式会社の社長として、それぞれの属する組織の預金の名義人になっている場合があります。このとき、会社等の代表者・役員等として名義人となっている預金は、当該会社等の預金として、個人名義の預金とは別に計算されます。なお、当然のことですが、他人名義・架空名義の預金の場合には、保護を求めることはできません。
「ペイオフ」について
「“ペイオフ”が解禁・・・」といった記事やニュース解説を、見聞きした方もいらっしゃると思います。ペイオフ(payoff、支払うの意)とは、本来、預金保険金の支払いのことをいいます。しかし「ペイオフの解禁」という言葉が使われるときには、平成14年3月末までの全額保護が終了し、「1,000万円を超える預金はカットされるかもしれない」ということを、“ペイオフ”と捉(とら)えられていて、平成14年4月には、ペイオフが“部分的に解禁”されたと解説されることもあります。
また、いわゆる「ペイオフの解禁」で、全額保護されない預金について、保護の範囲に収まらない1,000万円を超える元本とその利息等については、破綻金融機関の財産の状況に応じて清算による配当として支払われることになりますが、通常、配当までには時間がかかることから、その部分を預金保険機構が概算払率(破産手続きにより弁済可能と見込まれる額等を考慮して決定した率)を掛けた金額で買い取ることにより、預金者に概算払額を支払うことができます(「概算払」といいます)。