経済指標の見方
はじめに
経済、金融の動きに注意を払わなければ、どんな企業でもまともな経営はできません。同様に、家計を上手に管理、運営するうえでも、経済、金融情報には最低限の興味と関心を払う必要があります。
2005年4月からは、安全と目されてきた預貯金でさえ、原則として1,000万円までしか保証されないペイオフ時代に入りました。つまり、我々は今まで以上に注意を払って経済、金融が今どのように動いているのか、知らなければならなくなったのです。
あるいは、401kを利用して将来受け取るはずの年金を投資信託で運用することを自らの責任で選択したのであれば、株式や金利、為替相場等に無関心ではいられません。これらの各種相場は基本的には経済、景気の動きに大きく左右されます。とすれば、私たちは経済、景気の動きをキャッチするための最低限の道具を持つ必要があります。
「でも経済動向を読むためには、まずどんなデータから見ていけばいいの」。小稿は、そうおっしゃる方の疑問に答えるためのものです。
「経済はあたかも有機物である人体のごとし」と言います。第一義的には「経済の世界でのある部分の変化は必ずといっていいほど、他の部分に影響する」ということです。平たく言えば「全てのことは関係している」というわけです。さらには「経済の変化はほとんどの場合量的な変化を通じて把握できる」ことをも意味していると言えます。たとえば、身体が不調になると脈拍の数、深さ、呼吸の深さ、体温、血圧等の量的な変化として現れてくるものです。
であれば、我々が経済の現状を知るためには脈拍数、呼吸数、体温、血圧などのように量的に把握できるデータの変化に注意することから始めるというのは、とても理に適っています。
ここでは、こうした観点に立ち、経済の現状をチェックするために厳選した、最低限の経済データの読み方について説明します。
どのデータについても、それがどんな意味を持つのか、について適宜触れておきました。
本稿は2007年(平成19年)6月に作成されました。その後、経済情勢、各データの要綱等については変化が生じ得ますのでご注意ください。