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金融教育に関する実践報告コンクール

第9回金融教育に関する小論文・実践報告コンクール(2012年)

応募状況および特賞・優秀賞受賞作品の紹介

本コンク-ルは、今回から「小論文」と「実践報告」の2部門に分け、提言、取り組み事例などを募集しました。募集テーマは、小論文部門では「これから取り組んでみたい金融教育」「これからの時代に求められる金融教育」「金融教育をさらに普及していくための提言」「その他」、実践報告部門では「金融教育に関する授業や学校行事での実践の報告」でした。

教員、研究者、教員を目指す学生の方から40編の作品が寄せられ、厳正な審査の結果、特賞1編(小論文部門)、優秀賞4編(小論文部門2編/実践報告部門2編)、奨励賞5編(小論文部門3編/実践報告部門2編)の入賞作品が決まりました。

入賞作品のうち、特賞と優秀賞4編を紹介します。

特賞「学校における金融教育の成果-お金の管理の視点から-」(小論文部門)は、547名の大学生に対して、お金の管理状況、お金が不足したときの対応、お金に関する価値観、各学校段階における金融教育履修の経験を調査・分析したものです。

その結果、お金の計画的な使用についての学習経験を持つ学生は、そうした学習経験のない学生に比べて、1)お金を管理している割合が高いこと、2)お金の計画的な使用や節約を大切にする価値観を持っていることがわかり、特に小学校における教育が重要だとの結果が得られました。

本作品は、金融教育の重要性を裏付ける本格的な調査である点が高く評価されました。

優秀賞「経済ニュースから学ぶ金融経済教育~生きた経済を学ぶためには~」(小論文部門)は、中学校の授業で経済ニュースを取り上げた実践事例について、その意義や効果を考察したものです。

筆者は、社会科公民的分野の毎回の授業の導入部分でニュースの解説を行い、生徒に感想を書かせました。中立的で公平なニュースの選択や紹介の仕方に工夫しながらこの取り組みを続けるとともに、併せて新聞の株式欄やスーパーマーケットの広告・チラシを用いた指導を展開することにより、生徒たちの「生きた経済」への関心が高まり、自ら考察を深める様子も見られました。

本作品は、経済ニュースを授業で取り上げることで、金融や経済に対する関心を高め、課題を見つけ解決策を見出す力を養う可能性があることを明確にした点や、多くの学校で取り入れやすい実践である点が評価されました。

優秀賞「生徒発想主導型金融教育への接近-『伝え・学ぶ』から『考え・行動する』金融教育へ-」(小論文部門)は、商業高等学校での課題研究の事例実践の経験を踏まえて、「生徒発想主導型」の金融教育を提言しています。

従来型の金融教育は、1)伝えて終わり、学んで終わりに終始しがち、2)シミュレーションに終始し、実践を伴わない(伴えない)、3)最新事例を扱うほど暗い内容になりがち、と考えた筆者は、新しい金融教育のあり方を模索しています。

こうした中、担当した課題研究「私にできる国際協力」で、「遠い国の貧困に苦しむ子供たちを助けたい」と考えた高校生が、マイクロファイナンスやソーシャルビジネスを活かして、発展途上国の人々を継続的に支援する仕組みを作り上げようと取り組みました。その過程で、生徒たちはソーシャルビジネスを取り上げてもらうように教科書会社に働きかけたり、企業とコラボレーションする方法を模索したりしました。

本作品は、高校生に主体的に考え、行動させることは難しい中、実社会とかかわりながら展開していく金融教育の手法を提言したことが評価されました。

優秀賞「お金の三つの役割の学習」(実践報告部門)は、小学3年生社会科の「地域の生産や販売に携わっている人々の働き」の単元で実施した授業の実践報告です。

児童に「仕事」とは何かを問いかけても、当初はお金に対する認識が不足しているため、なかなか考えが深まりませんでした。そこで筆者は、お金がない時代の「物々交換」や、お金の役割について児童に自ら考えさせる授業を展開します。その結果、児童はお金には「交換を助ける役割」、「価値を計る役割」、「価値を貯める役割」の三つの役割があることを理解することができました。

筆者は、お金の役割が理解できれば、「なぜお金を稼ぐ必要があるのか」「なぜお金を貯めるのか」といったことにも理解がつながっていくなど、金融教育の基礎になるものと考えます。

本作品は、お金の役割を正面から考えさせる貴重な実践である点や、児童の関心を高めるために細かな配慮がされている点が、多くの支持を集めました。

優秀賞「地理的・歴史的分野に取り入れた経済・金融教育の実践について」(実践報告部門)は、中学校1~2年生が学ぶ地理・歴史的分野において、経済・金融教育に適した題材が豊富に含まれていることに注目した授業実践を報告しています。

筆者は、経済・金融教育の本質は「分業と交換の仕組みをどのように理解させるのか」であり、それは地理・歴史的分野でも指導することができる、と主張します。実際に、地理・歴史的分野を経済・金融教育の視点を持って指導することによって、後に学習する公民的分野の理解度が高まった様子も報告されています。

本作品には、地理的分野・歴史的分野・公民的分野を一体として学習するという考え方、あるいは地理的分野・歴史的分野でも経済・金融教育の視点を持って実践できるという視点が評価されました。

本コンクールには、学校現場での質の高い実践事例だけでなく、教育系大学の学生による金融教育への提言や単元提案も多く寄せられました。教科書を題材に金融の扱い方や課題を整理し、解決のための視点を提起する作品や、地方銀行の役割を通して金融・地理・産業を扱う意欲的な実践報告もありました。

本コンクール受賞作などを参考にしながら、より多くの学校教育関係者に幅広い金融教育の実践を行っていただければと思います。

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