金融教育フェスタ
金融教育フェスタ2016
先生のための金融教育セミナー
沖縄会場
実践発表・ワークショップ2の模様
実践発表・ワークショップ 2
講師:
千葉市教育委員会 山﨑 二朗 氏
進行・コメント:
国立教育政策研究所 大杉 昭英 初等中等教育研究部長
- 実践発表
- 今日は、「レシートで金融教育」をテーマに、ワークショップの時間も含めて模擬授業という形で進めていきたいと思います。
- 私がレシートを使って金融教育を行うのには、四つの理由があります。一つ目は、レシートの中に、経済に関する内容が豊富に盛り込まれていることです。二つ目は、レシートは生徒たちの生活の中に身近にあるということです。今まで一度もレシートを見たことがないという子はいないはずです。さらに、学習が教室の中だけに終わらず、その後も継続していくことができます。三つ目は、生徒たちへの定着レベルに応じて、レシートに書いてあることには意味があるということを理解させることができます。四つ目は、レシートを使った授業はあまり多くの時間を必要としません。中学校3年生の場合、公民は週に4時間ですので、この4時間で完結できるくらいの時間数がよいのではないかと考えました。
- 今日は、4時間のうち2時間目、3時間目、4時間目の授業を、みなさんに体験して頂きたいと思います。まず、2時間目では、レシートに記されている各項目の意味を考えます。なぜレシートに店名が書かれているのか、なぜその日の買い物で得られるポイント数が書かれているのかといったように「なぜ」というのをしっかり考えさせていきます。店名が書かれていなければ消費者は返品のときに困ってしまいます。返品の話から、消費者の権利や消費者基本法に触れる等、教科書に書かれた内容につなげて学習していくことが狙いです。
- 3時間目です。手元にあるレシートを消費者の立場から改善するとしたら、どの部分をどう変えますか。その理由も含め、企業に提言するつもりで考えてみてください。私の授業では、生徒の意見を実際に企業に提言していきます。生徒の理解を社会への提言という形で発信することで、その理解が正しいのか否かを学ばせ、理解をより深めることを狙いとしています。
- 4時間目は、2枚のレシートを使います。同じ店で買った品物なのに値段が違います。その理由と思われるものをレシートの中から探してみてください。2枚のレシートで異なるのは「買った時間」です。買った時間が違うとなぜ値段が変わるのかということから、価格が決定される理由や需要と供給等について考えます。
- レシートを題材とした授業は、小学校でも実践することができます。たとえば、上手な買い物の仕方やニーズとウォンツについて学ぶ授業の題材としてレシートを使うことが考えられます。レシートを題材として授業を行う際の留意点として、レシートには私生活の様子を伺い知る情報が含まれるため、授業で考えさせたい事項を含んだレシートを教師自身で準備し、使用することが望ましいということです。生徒も、先生のレシートということで、レシートの記載や買い物の内容に対して自由に色々な意見を言うことができます。教育現場はとにかく時間がありません。金融教育というと、大掛かりな内容を想像しがちですが、レシートを題材とした授業が、「どこかで使えそうだな」と思って頂けたら幸いです。
- コメント
- 大杉昭英先生より次のようなコメントがありました。
レシートは、小さな紙の中に沢山の情報が詰まっており、色々な視点から教材化することができる効果的な教材です。最近は、企業が個人の買い物の履歴をビッグデータ化して活用するということが、身近なところで行われるようになってきました。レシートとビッグデータ化した情報の活用という視点は、金融教育にも取り入れることができると思います。山﨑先生のお話にあった留意点に配慮しながら、レシートを使った効果的な金融教育を検討して頂ければと思います。
実践発表・ワークショップ2の模様
- 主催:
- 金融広報中央委員会・沖縄県金融広報委員会
- 後援:
- 文部科学省、金融庁、消費者庁、日本銀行、日本PTA全国協議会、沖縄県、那覇市、宜野湾市、沖縄県教育委員会、那覇市教育委員会、宜野湾市教育委員会、沖縄県小学校長会、沖縄県中学校長会、沖縄県高等学校長協会