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2016年度 先生のための金融教育セミナー

【小学校・中学校向け】

3.分科会(金融教育の事例紹介とワークショップ)/小学校分科会2

進行・コメント:
東京都東村山市立回田小学校 曽我部 多美 校長

実践発表およびワークショップ(1)

「プリペイドカードについて考えよう~現代社会に適切に対応し、たくましく生きる児童の育成へ~」
東京都目黒区立駒場小学校 福留 潮 校長
東京都目黒区立駒場小学校 横尾 昌子 教諭

実践発表

「プリペイドカードについて考えよう」というテーマで、本校で、26年、27年と2年かけて取り組んだ実践の内容について報告します。本校では研究のテーマを「現代社会に適切に対応し、たくましく生きる児童の育成」として、目指す児童像を「正しい情報かどうかを判断し、適切に取捨選択できる子」と「適切な情報を活用しながら、規範意識を持って判断し、実践できる子」として研究に取り組むことになりました。

授業を構築するために最初に行ったのは児童へのアンケート調査でした。アンケートの結果を児童に紹介しながら、プリペイドカードには、利便性とその陰に課題がある点について話し合ってもらいました。プリペイドカードの長所と短所を確認した上で、実際のトラブル事例を取り上げ、プリペイドカードの長所を逆手に取った事例について考えました。プリペイドカードの持つ利便性が悪用され、お金をだまし取られてしまう危険性について全員が理解できたようです。子どもたちは、使わないという選択肢よりも、長所と短所をしっかり理解して使いこなすことが大事、ということを学びました。

学習の成果については、いつの間にか生活の中に入ってきていたプリペイドカードについて、児童が知識を共有することができたということです。この学習を始めるまではそれぞれの知識量はバラバラでしたが、今回の学習によって全員が一定レベルの知識を確保することができました。また、プリペイドカードの長所と短所を考えることでプリペイドカードへの向き合い方を共通理解することができたということです。一方、課題としては、プリペイドカードを使って見えにくいお金の流れをつかませようとしましたが、安全と管理が中心となり、トータルとしてのお金の流れをつかんだり、金銭感覚を具体的に磨いたりするところまでは至らなかった点です。

2年間の金銭教育研究校としての活動を振り返ってみると、得られたことがたくさんありました。1つ目は、「見えないお金」も「自分のお金」として価値づけ意識化することで、実感を伴った管理をすることができるということです。2つ目は、児童にとって「見えないお金」のままにしておくことは、ルーズな消費活動につながるおそれがあるということ。3つ目は、社会の進展に伴い、今後「見えないお金」はどんどん増えていき、それを管理していくことはこれからの社会で生きていくための必須能力であるということ。4つ目は、情報を取捨選択し、規範意識を持って行動することが現代社会をたくましく生きるためには必要であるということです。この学習だけでこういった力が形成されるわけではなく、日頃の生活につながる具体的な場面で考えていくことが大切だと思いました。

ワークショップ

「正しい金銭的価値観を形成するために」と題して、生活のさまざまな場面を想定し、家族の生活スタイルによって価値観が異なり、消費の優先順位が変わってくるということを体験しました。6つのグループ毎に、20代独身女性会社員や40代後半の共働き世帯、70代後半の夫婦で年金生活者など、予め設定したさまざまな家族構成を選択して、その中で、家族の価値観と商品購入の関係などを考えることによって、消費行動が制限されることや将来設計を立てることの大切さを学びました。

コメント

曽我部多美先生より、次のようなコメントがありました。

駒場小学校での実践は、プリペイドカードという見えないお金を使うには、子どもが自分の価値観で判断しなければいけないことがたくさんあるということを理解する学習でした。授業では、目の前の子どもたちに、つけたい力を考え、こんな子にしたいというねらいから授業を組み立てることが大切です。何も知らないで、クレジットカードを使いトラブルに遭う前に、小学生からカードの使い方や情報の取捨選択についてもしっかり学ぶことはとても大切です。そういう点ですばらしい実践だったと思います。

小学校分科会2の模様(1)

実践発表およびワークショップ(2)

「くふうしよう たのしい食事」
佐賀県小城市立岩松小学校 小西 徹 教諭

実践発表

前任校の牛津小学校で平成26、27年度の2年間、金銭教育を研究しました。研究のテーマは「規範意識を高め、自分を高めようと努力する子どもの育成」です。

牛津小学校では金銭教育の観点をABCの3つに分けています。Aの観点が心を育てる視点、規範意識の涵養で、人や物を大切にする心を育てることです。Bが消費者としての視点、金銭感覚の涵養で、健全な金銭感覚を育むことです。Cは生活者の視点で、勤労意欲の涵養、健全な労働観を育むことです。これらの観点に沿って各教科の教育の中に金銭教育を取り込んだ工夫ができないかと考えました。

本実践は、Bの観点に位置づけています。指導の概要は、1.家族のために作ってあげたいおかずを栄養面と食材費の面から分析して決める、2.食材をスーパーに行って購入する、3.自分で調理し振り返る、4.家庭で食事(夕食)を作る場合と店舗弁当を夕食にする場合をシュミレーションして、かかる費用を比較する、5.一ヶ月の食費が増減したと仮定して、やりくりについて考える、です。

おかずを食材費から分析する学習では、タブレットを使って、おかずの材料がすぐに分かり、疑似的な購入体験ができるように教材を自作し、児童が試行錯誤しながら妥当な費用を探ることができるようにしました。

店舗で販売している弁当と費用を比較する学習では、家族3人分と仮定して簡単なシュミレーションをしました。児童は「店舗弁当の方が高くなる」、「栄養面からも家庭で作る方がよい」ことなどに気付くことができました。

食費のやりくりについては、「もし一ヶ月の食費が5,000円多くかかったとしたら」などの発問をし、やりくりについて考えさせましたが、十分ではなく、後日、学校で主催した金銭教育講演会につなぐことで、食費についての関心を持たせることができました。

学習後のまとめとして、食事づくりを体験し考えたことによって「栄養や食材費のことを常に考えて食事を作ってくれている給食の先生や、家で料理をつくってくれるお母さんやおばあちゃんはすごいな」という感謝の気持ちや、「やりくりを考えるということをこれからの生活に生かしていきたい」という意識が生まれたと思います。

研究の成果としては、1.栄養バランスと食材費の両面から献立を考えることができた、2.食事の準備を1つの労働として捉え、家族に感謝し、家族のために自分が役立つことに喜びを感じることができた、3.食事を食費という視点で子どもなりに捉えることができた、4.教科カリキュラムの中に金銭教育を組み込む工夫をすることができたことの4点が挙げられます。

ワークショップ

「家族につくってあげるおかずの分析カード」というワークシートを使い、小学校6年生になったつもりで、自分の家族においしいおかずをつくってあげる場合、どのようなものを選んで、いくらかかるのかを考えるとともに、大まかに栄養分析をする体験をしました。また、自分で作る食事(夕食)とお店の弁当を比較してその費用を比べました。最後に、牛津小学校のカリキュラム例を参考に各学校での金銭教育の取り組みを各グループで話し合い情報交換を行いました。

コメント

曽我部多美先生より、次のようなコメントがありました。

最後まですごく盛り上がり、本音で皆さんが話し合えたので、すばらしいワークショップだったと思います。お金は生活の道具・ツールなので、いろんなものをはかる尺度になっています。算数の時間にお金を使って授業を進めると、日常生活の経験から「100円で10円の買い物をすると、お釣りは幾らでしょう」という質問に対し、「90円」と、ぱっと答えが返ってきます。私たちが金融教育を上手に学習に取り入れて、子どもたちに理解しやすいように工夫することで、いろいろな取り組みができるのではないでしょうか。

小学校分科会2の模様(2)

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